研究課題/領域番号 |
10357010
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究分担者 |
山本 孝史 農林水産省, 家畜衛生試験場, 部長
寺嶋 宏明 京都大学, 医学研究科, 助手 (40314215)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
西河 芳樹 ノバルティスファーマ株式会社, 取締役研究開発本部長
山内 清明 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00291427)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
31,300千円 (直接経費: 31,300千円)
2000年度: 10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
1999年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1998年度: 11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
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キーワード | 人工肝臓 / 体外肝灌流 / 異種肝臓 / ヒヒ / DAF / 遺伝子導入ブタ / ブタ内因性レトロウイルス / 体外異種肝灌流 / レトロウィルス / IgY / ブタ / レトロウイルス |
研究概要 |
本研究は、急性肝不全の治療のための異種動物の肝臓を用いた異種全肝体外灌流型肝補助装置(人工肝システム)の開発を行うことを目的とした。 1)ブタ全肝を用いた人工肝システムにおいて長時間の肝補助機能を維持するための至適灌流条件を確立し、肝不全モデル動物と本人工肝臓システムによる直接交差灌流を行ない、肝不全動物の生存時間の延長を確認した。 2)本人工肝臓システムの前臨床試験として健常ヒヒと10時間の交差灌流を施行すると、溶血によりヒヒは急性腎不全をきたし2日後に死亡した。しかし、6時間以内の交差灌流では肉眼的溶血は認められず、ヒヒはその後1年の観察で特に合併症を認めなかった。溶血の原因として、異種免疫反応に起因すると考えられるブタ肝臓類洞内皮細胞の障害とそれに伴う血栓形成が示唆された。 3)異種免疫反応を制御する目的でヒト補体抑制因子(hDAF)遺伝子導入ブタを本人工肝システムに用いた。ヒヒとの交差灌流では24時間にわたって安定施行可能で、ブタ肝臓の機能は良好に維持されていた。また灌流後のヒヒに重篤な合併症を認めなかった。ブタ肝臓の検索では、肝類洞内皮への細胞膜障害複合体沈着が抑制され、異種免疫反応が制御されていることが明らかとなった。 4)ブタ内因性レトロウィルス(PERV)の霊長類への感染リスクを検討するため、本人工肝システムと交差灌流を受けたヒヒから経時的に血液を採取し、高感度定量的PCRを用いてPERV配列を検出した。灌流中および灌流72時間後にヒヒ末梢血中にPERVを検出したが、1週間後から検出感度以下となり、以後半年間陰性であった。交差灌流によって一過性にブタ肝臓からヒヒへ血球系細胞が移行するものの、感染の成立には至らないことが示唆された。 以上より、hDAF遺伝子導入ブタ肝臓を用いた全肝型人工肝臓は臨床応用が期待できると考えられた。
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