研究分担者 |
堀 久枝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80014190)
山本 一彦 東京大学, 医学部付属病院, 教授 (80191394)
脊山 洋右 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90010082)
吉本 賢隆 癌研病院, 外科, 副部長(研究職)
服部 俊治 ニッピバイトマトリスク研究所, 主任研究員
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配分額 *注記 |
30,300千円 (直接経費: 30,300千円)
2000年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1999年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
1998年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
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研究概要 |
ザイモグラフィー法による血中、胆汁中の定量的測定法を確立し、マトリックスメタロプロテアーゼMMP-2, MMP-9を中心にして解析を行った。MMP-2, MMP-9の活性測定を、胃癌、大腸癌、脳腫瘍の体液について行い、いずれの癌においても、血中MMP-2, MMP-9の活性が、癌病態の把握に有効であることを明らかにした。胃癌患者生存率の解析で、血中MMP-9が、胃癌の予後を反映することを初めて明らかにした。癌遺伝子であるODC遺伝子とMMP-2発現の相関についても検討した。In vitroで、ODC遺伝子の下流でMAPKを介してMMP-2発現が調節されていることを明らかにした。そこで、胃癌、大腸癌、乳癌の各組織でODC活性を測定し、MMP-2活性との相関関係についても検討した。ODC活性は、胃癌、大腸癌、乳癌の各組織で非癌部との比較で有意に高値を示した。統計的解析では、MMP-2活性との相関は、大腸癌でのみ認められた。胃癌、乳癌では同様の傾向はあったが、統計的に有意の相関関係は認められなかった。MMP-2抗体を用いた免疫組織染色を80例(大腸癌13,子宮癌9,肺癌10,肝臓癌15,脳腫瘍10,横紋筋肉腫4,食道癌6)のヒト癌組織について行い、平均陽性率59%を得、病態と密接な関係のあることを明らかにした。さらに、大きな発見は、胆汁中のMMP-2,MMP-9の活性測定法を初めて確立し、臨床サンプルの測定を行った点である。文書による同意を得た53例(肝転移のない26例、肝転移例27例)の大腸癌患者の胆汁中のMMP-2(活性型および非活性型),MMP-9(非活性型)を定量測定した結果、肝転移例において、活性型MMP-2および非活性型MMP-9が有意に高値を示した。この結果は活性型MMP-2および非活性型MMP-9が、肝転移の予知に有用である可能性を示唆し、新規の臨床検査法確立の基盤を築いた。テロメラーゼの活性測定を各種癌について行なったが、癌で高い傾向を示したが、この結果は、従来の報告を追認した結果で新規の発見には至らなかった。
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