研究分担者 |
八木 隆志 東海大学, 理学部, 教授 (20297196)
武田 修三郎 東海大学, 工学部, 教授 (90056094)
南里 憲三 東海大学, 理学部, 教授 (20056211)
遠藤 雅守 東海大学, 理学部, 講師 (60317758)
山口 滋 東海大学, 理学部, 助教授 (40297205)
砂子 克彦 東海大学, 理学部, 教授 (50056016)
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研究概要 |
コイルレーザー(化学酸素沃素レーザー=COIL)を環境保全及び災害対策として利用するための基礎技術を確立することを目的に行った標記研究により以下の成果が得られた. 1.「高圧亜音速動作」のCOIL開発に成功した.レーザー共振器における圧力は6Torrと,従来のCOILに対して数倍の圧力である.最大の化学効率は25%で,超音速動作と遜色無い値を示した.この結果,単位レーザー出力あたりに必要な排気装置の大きさを1/5に縮小することが可能となった. 2.設計出力1kWの車載型COILプロトタイプ機を開発した.超音速動作で最大出力1343W,高圧亜音速動作では動作圧力6Torrにおいて最大出力1123Wを記録した.動作圧力を更に高めることで最終的には圧力12Torrにおいて3.8J/literという値を記録した.一時間の連続動作を達成し,同時にBHP(塩基性過酸化水素=COILの燃料)の利用効率40%を達成した.新開発の塩トラップは有効に機能した. 3.COILを用いて,コンクリートや岩石など,災害対策で対象となりうる材料に関する切断性能を実験により求めた.30kW級装置による切断性能を推定したところ,厚さ100mmのアスファルトに対して350mm/min,コンクリートに対して100mm/minなどの結果が得られた. 4.COILの光ファイバー伝送に関する基礎的な試験を行った.現在入手可能な大出力用光ファイバーは,伝送損失,曲げ損失に対して実用上問題ないことを確認した.一方ファイバー同士の結合損失は6%/接合と実用に耐えない.また,ファイバーの物理的限界(誘導Brillouin散乱)で決まる伝送パワーの限界は30kWを超えることを示した. 以上の研究結果から,COILを災害対策,環境保全に利用するという当初の目標について,各研究項目において大きな前進を示すことができたと考えている.
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