研究分担者 |
松冨 英夫 秋田大学, 工学部, 助教授 (20134083)
高橋 智幸 京都大学, 防災研究所, 助手 (40261599)
今村 文彦 東北大学, 工学部, 助教授 (40213243)
松山 昌史 電力中央研究所, 水理部, 研究員
都司 嘉宣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30183479)
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研究概要 |
1998年7月17日,パプアニューギニアの西Sepik州沖でマグニチュード7の地震が発生し,それに伴う津波が同州のAittape付近へ来襲した.この津波の沿岸部での高さは10mを越え,死者2,500名にもおよぶ大被害をもたらした.地震規模を考えると異常な巨大津波であり,津波地震と推定された.そこで,被災後まもなく,津波災害の実態解明のための現地調査を実施した. 7月31日にはパプアニユーギニアヘ入国して情報収集を行い,同国研究者と打ち合わせ後,被災地へ移動した.被災地への陸路は断たれていたため,ヘリコプターやボートで移動し,レーザー距離計やGPSを用いて徒歩での調査を行った.調査後,災害対策本部の依頼により,復興支援を目的として,津波災害についての講演を被災者に対して行った.また,現地の研究者との研究会を催し,調査結果を全て公開すると同時に,今後の研究の展開についての議論を行った. 津波高分布はSissanoラグーン付近で最も高く,そこから遠ざかるにしたがい低くなる傾向を示している.さらに5mを越えいている範囲は約20kmで,10mを越えいている範囲にいたってはわずか10km程度である.すなわち,極めて局所的に大きな津波が来襲していることが判明した. 津波に流された生存者の証言なども加味すると津波は次の様な挙動を示したと推定される.砂州上ではフルード数1の限界流が出現し,さらに砂州背後のラグーン側に落ち込み縮流してフルード数が1以上となり,射流としてラグーンを横断した.そして,非定常流の波状跳水の形で対岸のジャングルまで及んだ.第1波の津波で水位が上昇したラグーンでは,開口部から急流となって海側に流出したが,これが第2波に対して逆流となったために,この開口部付近で津波が高くなったと思われる.調査結果でも,開口部周辺では,津波の高さが12mを越えている.
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