研究課題/領域番号 |
10410011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
倫理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鷲田 清一 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50121900)
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研究分担者 |
川本 隆史 東北大学, 文学部, 教授 (40137758)
大庭 健 専修大学, 文学部, 教授 (00129917)
安彦 一恵 滋賀大学, 教育学部, 教授 (20135461)
中岡 成文 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00137358)
高橋 久一郎 千葉大学, 文学部, 教授 (60197134)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
1999年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1998年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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キーワード | アカウンタビリティ / 生命倫理 / 臨床哲学 / 政治的責任 / 自己決定権 / 環境問題 / 情報倫理 / コミュニケーション / 倫理学 / 責任 / 哲学グラクシス / 所有 / 殺人 |
研究概要 |
現代社会では、政治や経済や文化の諸領域がいよいよ緊密な相互作用をもつようになって、学術研究も社会の資源をどのように使用し、問題解決にどのように資するのかを対外的にあきらかにすることなしに有効な活動を維持できなくなってきている。これは、社会資源の使用システムの問題であり、学術研究のあり方そのものをめぐる、学問と社会との内在的な関係の問題でもある。そして倫理学においても、教育・研究態勢を再点検する作業を欠くことはできない。そうした問題意識から、本研究では〈アカウンタビリティ〉(情報の提供を前提とした自己の存在と行為の対外的説明義務)の概念についての共通の理論的な基本認識を獲得するとともに、倫理学が社会に対してどのような倫理的言説や視点を実際に提供できるのかについて、社会のさまざまな具体的な問題領域に則して検討した。そしてそうした作業を通じて、倫理学が社会に対してアカウントすべき諸論点とその表現形式、社会の側からのそれに対するチェック機能のあり方などを検討した。具体的には、「応用倫理学」の可能性と限界についての検討、「臨床哲学」や「臨床倫理学」の試みの報告と検討、さらにそうした議論の基礎となる「コミットメント」の概念、自律と責任自己決定権の概念等について考究した。また、技術と倫理の関係、マイノリティ問題の倫理学的側面などをめぐる議論を重ねるとともに、社会学者らの協力も得て、環境問題についての倫理学的なフィールドワークの模擬演習も試みた。そうした試みを通して、倫理学の〈アカウンタビリティ〉がその普遍的原則を探求するだけでなく、個々の問題ケースに応じた、そしてその現場で使用されている特殊な言語の倫理学的な視点からする検討作業をくぐり抜けたきめこまかな議論が、〈アカウンタビリティ〉の実質を形成するとあきらかになり、今後この方向の研究がさらに推進されるべきことが確認された。
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