研究課題/領域番号 |
10410015
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
井村 彰 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (70223344)
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研究分担者 |
鳥越 けい子 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (60237162)
利光 功 東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (00074310)
武藤 三千夫 広島市立大学, 国際学部, 教授 (50015301)
椎原 伸博 玉川大学, 文学部, 講師 (20276679)
井上 明彦 京都市立芸術大学, 美術学部, 助教授 (30232523)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1999年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1998年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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キーワード | 環境美学 / 都市芸術 / パブリックアート / 景観 / 都市の美術館化 / 公共性 / 美的環境 / パブリック・アート / コミュニティー・アート |
研究概要 |
本研究は、環境美学という新しい視点から、現代の様々な問題が集約されている都市芸術の諸相を分析することによって、環境概念そのもののメタ批判を行うことを課題としてきた。そのため、各研究分担者は、都市芸術の実態把握につとめるべく、都市景観、パブリックアート、音環境などさまざまな領域においてフィールドワークを行う一方、その調査結果をもちよって頻繁に研究連絡会議を行い、環境美学の理論的視座の確立に向けて議論を重ねてきた。 その結果、当該課題が直面するいくつかの問題点を明確にすることができた。環境美学から見た都市空間というと、アメニティスペースの演出といったことが短絡的に連想されるが、環境美学をこのような「都市の美化」の問題にのみ方位することには陥穽があるということである。そこで、芸術作品を屋外の都市空間に設置すればすなわちパブリックアートであり、それだけで美的環境たりうるとするような、「都市の美術館化」といった事態に対して、批判的な検証を行った。例えば、千葉大の長田健一氏を研究代表者とする「<美術>展示空間の成立・変容」の科研グループとの合同研究会などを通じて明らかになったのは、屋外空間における「都市の美術館化」が美術館という屋内空間の制度化と補完関係にあるということであった。このような状況は、必ずしもわれわれが考える美的文化環境といえるものではなく、モダニズムの芸術館と環境美化政策の安易な結合によるものだということが指摘され、モダニズム芸術理論の相対化によるオルタナティヴなアートの可能性を探るとともに、都市の景観や音環境等の保存や創生のありうべき方向性についても研究した。その結果、都市と芸術との関係に重点をおいてきたわれわれの環境美学の新たな展開のためには、他の諸領域においても問題となっている公共性概念の検討が不可欠であるという認識に至り、これを今後の課題とすることにした。
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