配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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研究概要 |
本研究は,異なる損傷部位を持つ脳血管障害患者を対象に,概念達成障害の神経心理学的評価だけでなく,脳損傷患者の概念達成不全を補償するための認知的リハビリテーションにパソコンを活用できるか否かの可能性を探ることを目的とした。特に,概念達成課題の学習過程に現れる認知機能障害の特性を,種々の脳部位に損傷を持つ患者の学習達成成績だけでなく,学習過程の様相から捉える過程分析的アプローチから評価することで,どのような学習過程に支えられて,概念達成を行っているのかを明らかにした。さらに,概念達成に関わる対象認知障害を考慮して,概念達成を補償する支援技術としての認知リハビリテーションについて,パソコンや携帯端末による活用の試みやその評価について検討した。 研究期間中に検討し,明らかとなったのは次の3点である。1)弁別移行学習を評価課題として,左右並びに両側半球に損傷部位を持つ脳血管障害患者が示す弁別移行学習過程の検討において,言語機能障害を持つ左半球損傷患者が,他の部位の損傷患者よりも顕著な特徴を示した。特に,その損傷部位が大脳基底核周辺にある場合には,媒介型の弁別移行が困難となり刺激-反応型の発達的に低次の段階の学習パタンを示すことが明らかとなった。2)概念達成障害を視覚的対象認知障害との関連性から検討するため,日常的具体物を視覚刺激として呈示したときのターゲットとディストラクターの弁別機能,視覚的イメージの符号化能力,継時的に呈示される刺激に対する記憶能力の評価を行った。その結果,左半球損傷患者の作動記憶障害が,概念達成に影響することを認めた。3)概念達成障害の補償を技術支援という立場から,認知リハビリテーションとソフトウエア開発を検討した結果,日常的訓練にパソコンや携帯情報端末を活用する可能性が大であることが示唆された。
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