研究課題/領域番号 |
10410096
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
中井 一夫 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第1課, 主任研究員 (40250360)
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研究分担者 |
横田 勝 国立高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (10029225)
小堀 孝之 国立高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (30279856)
今津 節夫 (今津 節生) 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室, 総括研究員 (50250379)
三船 温尚 国立高岡短期大学, 産業造形学科, 助教授 (20181969)
木下 亘 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課, 主任研究員 (40250378)
清水 克郎 (清水 克朗) 高岡短期大学, 講師 (70235646)
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査1課, 主任研究員 (90250381)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 伝世鏡 / 方格規矩四神鏡 / 内行花文鏡 / 画文帯神獣鏡 / 鶴尾神社4号墳 / 手ずれ / 踏み返し / デジタルマイクロスコープ / 踏み返し鏡 / 湯冷え / 多紐鏡 / 鶴尾神社4号墳出土鏡 / 平原弥生古墳 / 徳永川ノ上遺跡 |
研究概要 |
前期古墳から出土する漢中期の鏡を伝世鏡と呼ぶ。弥生時代に舶載された銅鏡が、近畿地方の弥生社会には銅鏡を伝世する風習があったため出土せず、古墳時代に強力な政治的中心ができた後に前期古墳に副葬されるようになったとする仮説である。伝世鏡論を認める根拠の一つは、副葬鏡の幾つかに「手ずれ」とされる長年月にわたる磨きなどによって、鏡背文様が朦朧となったものが見受けられるという事である。朦朧化現象の原因については「湯冷え」が原因とする説と「踏み返し」が原因とする説とがあった。 以上の問題意識から以下の2点を中心に検討した。一つは伝世鏡と言われているものについて観察調査を行った。高精度デジタルマイクロスコープを利用して、肉眼観察ではなしえない高倍率の観察と記録を行った。対象としては、方格規矩四神鏡、内行花文鏡、画文帯神獣鏡を取り扱った。伝世鏡論において代表的事例としてあげられている鶴尾神社4号墳出土鏡について詳細に検討した。これらの観察結果を総合すると、鏡背が朦朧となっていても、鋳肌の面積が大きく、朦朧化の原因は長期間の使用による磨滅などではないことが明白となった。朦朧となる原因については、明確な回答は得られず、幾つかの状況証拠によって踏み返しの際の技法上の問題か踏み返し鏡自体に問題が所在した可能性が高い。 2点目は中国大陸において、列島内で出土する伝世鏡のような文様の朦朧とした銅鏡があるかどうかを確認することにした。調査地は陝西省洛陽市、山東省斉南市、大韓民国ソウル市などで類似鏡を探した。およそ600面ほどの出土鏡収蔵鏡に関して観察調査を行った。その結果2面の異体字銘帯連弧文鏡について、肉眼観察ではあるが伝世鏡の鏡背文様に認められる朦朧化現象が確認された。肉眼観察のみなので、詳細については今後の精密な観察と記録が必要であるが、類似の銅鏡を発見できたことは、朦朧化現象を列島内での伝世とそれによる長期間の使用による磨滅のみに限定する必要が無くなったということで大きな成果である。
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