配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,体液理論の発展を分析することにより,「ヒポクラテス全集」に含まれる諸論文の相対年代を確定し,広く同時代の文学・哲学との関連を考察することであった.古代の生理学・病理学にとって体液理論は最も基本的かつ重要なものである.クレイクは「ヒポクラテス全集」の内容(医学学説,体液)と形式(方言,語彙,文体)の両面から分析を加え,諸論文の相対的な展開過程や先後関係を推測し,また,体液理論は健康な体,あるいは病める体の中に存在する様々な液体を指す用語から発展した,との仮説の検証に努めた.たとえば,「ヒポクラテス全集」のある論文では,「湿った」という単純な用語が人体を構成する中心的な液体を指しているのに対して,別の諸論文では,様々な分泌物・排泄物を指す用語(汗,粘液,尿,等)が複雑に分化している.このような分析を通して,「ヒポクラテス全集」そのものの中から,血液・粘液・黒胆汁・黄胆汁の四体液理論の展開を考察した.これらの結果をクレイクは,ヨクヤカルタ(インドネシア),バンフ(カナダ),カヴァラ(ギリシア),ニース(フランス)等の関連学会において報告した.内山は「ヒポクラテス全集」の体液理論がガレノス学派においていかに継承・発展させられ,現代医学に繋がっていったかを考察した.中務は用語面の分析を担当し,特にソクラテス以前哲学者における視覚と聴覚の理論が文学作品でどのように現れるかを検討した.中畑は古代末期における身体観の考察を分担し,アリストテレス「魂について」のその後の哲学における受容をあとづけた.
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