研究分担者 |
小宮 克弘 山口大学, 理学部, 教授 (00034744)
井上 透 山口大学, 理学部, 教授 (00034728)
内藤 博夫 山口大学, 理学部, 教授 (10127772)
幡谷 泰史 山口大学, 理学部, 助手 (20294621)
中内 伸光 山口大学, 理学部, 助教授 (50180237)
河津 清 山口大学, 教育学部, 教授 (70037258)
柳 研二郎 山口大学, 工学部, 教授 (90108267)
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研究概要 |
Riemann計量gが平坦接続Dのアファイン座標に関してHessianで表されるとき,(D,g)をHessian構造という.Hessian構造がCodazzi方程式をみたすことから,その一般化としてのCodazzi構造(双対構造)が得られる.これらの空間構造はアファイン微分幾何学,Kahler幾何学等の純粋数学は勿論のこと,応用分野である情報幾何学においても重要な中心的役割を果たすものである.このプロジェクトでは双対構造とHessian構造をキーワードに,微分幾何学,情報幾何学の双方の観点からその基礎的研究を行い以下の結果を得た. 1 「等質空間G/K上の不変な射影的平坦接続はGのLie代数のある種のアファイン表現を用いて特徴付けることが出来る」という主定理が得られた。この系として次のことがわかった。 (1)G/Kが不変な射影的平坦接続を持つための必要十分なG/Kが中心アファインはめ込みを持つこと。 (2)不変な射影的平坦接続を持つ半単純対称空間と中心単純Jordan代数が1対1に対応する。 2 定曲率cの不変な双対構造(D,g)を持つ等質空間の構造を決定することは微分幾何学的にも情報幾何学的にも興味のある問題であるが、これが1の結果を適用することにより解決できた。すなわちc=0のとき(D,g)は不変なHessian構造であり、c≠0のとき(D,g)は余次元1の等質空間上のある種の不変なHessian構造から導かれることがわかった。特に半単純対称空間G/K上に定曲率の不変な双対構造があれば、G/Kは対応する中心単純Jordan代数のω-領域の特性関数の等位曲面になることがわかった。 3 R^mの領域からΩからn次実対称正定値行列全体からなる凸錐への線形写像ρが与えられたとき、ρに対してR^n×Ωの元でパラメター付けられたR^n上の指数型確率分布族が自然に導かれることを示した。これはn次元正規分布族の拡張であり、Hessian断面曲率一定の族を含み、さらには安定フィードバックシステムの理論とも関連することがわかった。この微分幾何学的応用としては、コンパクトアファイン双曲空間Γ/Ωとρから誘導されるΓ/Ωのベクトル束をE(Γ/Ω,ρ)とするとき、E(Γ/Ω,ρ)はHessian計量を有し、その計量を用いることによりE(Γ/Ω,ρ)-値のコホモロジー群の消滅定理を得た。
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