研究課題/領域番号 |
10440083
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
川村 静児 (川村 靜児) 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助教授 (40301725)
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研究分担者 |
山崎 利孝 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (90182485)
高橋 竜太郎 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (60270451)
大橋 正健 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (80213833)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 重力波 / レゾナント・サイドバンド・エクストラクション / TAMA計画 |
研究概要 |
現在、世界各国でレーザー干渉計を用いた重力波検出プロジェクトが進んでいる。日本のTAMA計画、アメリカのLIGO計画、フランス・イタリアのVIRGO計画、ドイツ・イギリスのGEO計画などが主なものであり、数年後には人類初の重力波検出がなされる可能性もある。しかし、将来この分野を重力波天文学にまで高めていくためには、検出器のより一層の感度の向上が必要である。そこで、本研究では、狭帯域ながら感度の改善を可能にする、レゾナント・サイドバンド・エクストラクション(RSE)干渉計の基礎実験を行なってきた。 RSE干渉計は、通常重力波検出用レーザー干渉計として標準的に用いられるパワーリサイクルド・ファブリペロー・マイケルソン干渉計の検出ポート側にさらに1枚のミラー(シグナル・エクストラクション・ミラー)を配置し、アーム共振器内に閉じこめられた重力波信号を位相キャンセルが起こる前に取り出すことにより、干渉計の重力波に対する感度を上げようとするものである。RSE干渉計においては、通常の方式に比べリサイクリング共振器内での光のパワーが小さいため、ミラーの熱レンズ効果による感度の悪化が起こらない点が優れている。さらにシグナル・エクストラクション・ミラーをわずかに共振条件からずらすことにより干渉計の周波数応答の特性を変えることができ、結果として干渉計の感度をある限られた帯域で改善することが可能となる。 従来行われてきたRSE干渉計の基礎実験においては、大気中でのテーブルトップ実験として、多変調を用いた信号取得方法が試みられてきた。しかしRSE干渉計では腕のファブリペロー共振器に非常に高いフィネスが要求される、つまり超高反射率のミラーが必要とされるため、大気中ではミラーの劣化が問題となる。また最終的にRSE干渉計をミラーがつり下げられている大型装置に組み込むことを考えた場合、テーブルトップで固定ミラーを用いて行う実験では限界がある。さらに多変調を用いた信号取得方法はただでさえ複雑な干渉計の制御をより一層複雑にしてしまう。 そこで本研究では、一本腕の真空装置と超小型の簡単型ミラーつり下げシステムを用いて実験を行なうことにより、テーブルトップ実験の簡便さを損なわぬまま、ミラーの劣化のない環境で、より現実の重力波アンテナに近いかたちで実験を行なった。また単一変調による信号取得法を開発し、よりシンプルで信頼性の高い制御方法の実現を目指した。 計画の最終年度には世界で初めて、つり下げられたミラーを使って、単一変調方式によるRSE干渉計の制御に成功し、本方式の有用性を証明した。さらに信号取得の純度を改善するため、単一変調のままで3倍波復調を用いた信号取得方法を新たに考案し、システムを複雑にすることなく制御特性が改善できることを、理論的に、またシミュレーションを用いて確認した。この方式の実験による確認は来年度以降行なわれる予定である。
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