研究課題/領域番号 |
10440099
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内田 慎一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10114399)
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研究分担者 |
小嶋 健児 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (60302759)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | ストライプ秩序 / La系高温超伝導体 / 遠赤外スペクトル / 角度分解光電子分光 / ホール効果 / スピン・電荷秩序 / 中性子散乱 / x線散乱 / 光学伝導度 / 電子輸送現象 |
研究概要 |
La系高温超伝導体(LSCO)の最高の臨界温度Tcは40Kと、他の高温超伝導Cu酸化物に比べてかなり低い。一方、La系では正孔濃度が1/8のとき、あるいはLaの一部をNd等他の希土類元素に置換したとき、そのTcが著しく抑えられることが知られていた。この原因が、スピン・電荷のストライプ秩序の形成であることが明らかになりつつある。本研究ではLa_<2-X-Y>Nd_YSr_xCuO_4(LNSCO)のストライプ秩序相における超伝導と電子のダイナミックスがどのようなものであるかを解明し、LSCOにおいてストライプ秩序のゆらぎの影響を検証することを目的として実行され、以下に挙げるようにその目標をほぼ完全に達成した。 (1)LNSCOに対する、ホール効果及び角度分解光電子分光の実験により、電子(正孔)の運動がストライプ秩序相では、1次元的になっていることを明らかにした。また、正孔濃度が1/8以上のときは、超伝導秩序がストライプ秩序と共存していることもμSR等の実験から明らかとなった。これらの結果は、ストライプモデルの正当性を証明するとともに、ストライプ秩序相では「電子液晶」ともいうべき新奇な電子状態が実現していることを強く示唆している。 (2)赤外光学スペクトル、角度分解光電子分光の実験から、LSCOにおいてもストライプ秩序がゆらぎとしてその物性に大きく影響していることを示した。特に、高温超伝導体のアンダードープ域を特徴づけている擬ギャップ効果がLSCOでは強く抑制されており、これとTcの抑制とが相関していることが示された。 (2)の知見に基き、La系のTcを向上させるには、ストライプゆらぎの抑制が必要であることがわかる。磁場、電場、圧力等様々な外部パラメーターによるストライプの抑制を試みた結果、ストライプ秩序の抑制に最も有効なパラメーターは、CuO_2面の一軸性圧縮応力であることがわかった。
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