研究課題/領域番号 |
10440101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮山 進 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00153677)
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研究分担者 |
平井 宏 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30251325)
吉岡 大二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30114713)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1998年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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キーワード | 量子ホール効果 / 抵抗ゆらぎ / 分数端状態 / 端状態のスピン偏極 / 2重量子ドット / 非弾性散乱 / 散乱波状態 / 位相干渉性 / 伝導度ゆらぎ / AB効果 |
研究概要 |
[抵抗揺らぎ]2つの微少な散乱領域-ショットキー・クロスゲート(5ミクロン角以下)および量子ドット-を量子ホール効果状態の電子系で接続した素子(GaAs/AlGaAsヘテロ構造試料)の縦抵抗を調べた。100mK以下の量子ホール効果遷移領域において抵抗揺らぎを見いだし、その解析から(i)素子全体にわたって電子系の位相干渉性が保たれていること、さらに、(ii)不純物ポテンシャルの2次元電子系によるクリーニング効果が磁場・電子系濃度(フェルミエネルギー)のわずかな変化によって変化して抵抗揺らぎを与えること、を明らかにした。 [非弾性散乱]GaAs/AlGaAsヘテロ構造結晶中の2次元電子系試料について、量子ホール効果遷移領域幅のドレイン・ソース電圧依存性を調べ、(i)電子系の固有状態がソース電極とドレイン電極を源とする散乱波状態であり、かつ(ii)それぞれの散乱波状態間の非弾性散乱が量子ホール効果遷移領域においてもきわめて強く抑制されることを明らかにした。このことにより、強磁場中の電子系の位相干渉性が零磁場の場合に比べてはるかに長距離にわたって保たれることを説明した。 [端状態間遷移:スピン偏極]奇数の整数量子ホール効果および分数量子ホール状態(2/3と1/3)において、端状態間の非平衡緩和過程が電流の極性と挿引方向に対して、顕著で異常な履歴特性を示すことを見いだした。その結果を、端状態間の遷移による電子のスピン・フリップによって、母体結晶中の核スピンのフリップが誘起され、それが超微細構造を通して電子スピンに対する有効磁場を変化させる結果と解釈した。特に分数量子ホール効果については、(i)複数の分数端状態が確かに存在し、かつ(ii)それらが固有のスピン偏極を持つしている、という全く新たな知見を得た。今後、分数端状態のスピン状態を研究する全く新しい実験手段を与えると考えられる。 [量子ホール効果崩壊現象]量子ホール効果の電流増大による崩壊現象の機構を、熱的安定性の議論によって明らかにした。
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