配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1998年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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研究概要 |
ある種のEu化合物ではEuの価数は強く温度に依存し,場合によっては1次の相転移を起こして別の価数状態に移る.本研究はこのようなEuの価数揺動と価数転移機構を解明するために行われた.まず試料については従来の多結晶試料の良質化とあらたに単結晶試料の作製を目標として行われた.その結果多結晶試料ではEuPd_2Si_2については従来報告されているものよりはるかに高品質のものが得られるようになり,他方フラックス法によってEuNi_2P_2やEuRu_2Si_2の単結晶を作製することに成功した.Euの価数転移はこれまでICFモデルという現象論モデルを用いて議論されてきた.今回圧力効果の実験から,ICFモデルのミクロな起源は励起エネルギーの圧力依存性が大きいと考えることによって説明されることも明らかになった.しかしながら比熱測定による価数転移に伴うエントロピーの評価ではICFモデルは大まかな温度変化やエントロピーの絶対値についてはよい値を与えるものの,低温での温度変化については定性的にも説明できず,このあたりにICFモデルの限界があるものと結論される. 一方で,価数転移に伴う異常な物理現象の解明も行われた.とくに電気抵抗が価数転移温度で極大値を取ることは古くから知られていたが,これについての十分な説明はなされていなかった.本研究では価数転移温度で2価のEuイオンと3価のEuイオンが半々で存在するので,伝導電子の散乱ポテンシャルが最もランダムになるために電気抵抗の極大が生じることを示した. 単結晶を用いた測定では価数揺動を示すEuNi_2P_2のホール効果を測定した.これはEu系化合物ではじめてのホール効果のデータである.さらにEuRu_2P_2がキュリー温度29Kの強磁性体であることも見出した.
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