研究課題/領域番号 |
10440110
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
伊賀 文俊 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (60192473)
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研究分担者 |
梅尾 和則 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (10223596)
高畠 敏郎 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (40171540)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
1999年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1998年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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キーワード | モット転移 / 金属・非金属転移 / 軌道秩序 / スピン・電荷分離 / 圧力効果 / 電気抵抗 / 光電子分光 / ペロブスカイト型酸化物 |
研究概要 |
低温の金属状態から高温で半導体へと金属・非金属転移を起こす(逆モット転移)特異なペロブスカイト型チタン酸化物Y_<1-x>Ca_xTiO_3(x=0.3〜0.4)の転移近傍の物性(磁性、輸送現象、熱物性)を決定づけている要因について調べた。 1。試料作製法とその評価の確立:昨年度イメージ炉により単結晶試料の育成方法を確立し、酸素量の決定には、本年度導入した熱重量分析装置を用いた。その結果酸素欠損のない試料を得る為のアニール条件(370度Cアルゴン酸素1:1気流中で4時間)も確立した。 2。光電子分光による状態密度変化:高品質の単結晶試料では、転移点における電気抵抗の変化が約6〜7桁とMn酸化物と比肩しうるほどに転移が明確になった。広島大学の放射光施設で光電子分光の実験を行い、この系での金属・非金属転移をフェルミ準位近傍のスペクトル強度変化として明確に観測することに成功した。一方帯磁率の温度変化は転移温度と温度変化に食い違いがあり、スピン・電荷自由度の分離傾向を確認した。 3。軌道自由度とスピン自由度の相関:金属非金属転移前後でのスピン、電荷の自由度のほかに、軌道自由度の寄与の有無を調べるため、まず強磁性半導体領域(Ca濃度が0.05の強磁性試料)での軌道秩序を、偏極中性子回折法により調べた。4-site軌道秩序モデルの波動関数の組み合わせにより、実験で求められた磁気形状因子を説明することができ、軌道秩序はCaの乱雑さにあまり影響を受けず、広いCa濃度範囲で存在することがわかった。現在他の試料での更なる実験を申請中。 4。現在進行中の実験:現在放射光を用いたX線回折MEM法により、金属・非金属転移前後での軌道及び電荷空間分布の温度変化を明らかにする実験が進行中である。中性子回折と合わせて軌道・電荷・スピンの3つの自由度のCa濃度依存性を総合的に明らかにすることを目指している。
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