配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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研究概要 |
1.MORBの生成と深部岩石の関係を探るために,太平洋ヘス・ディープと,カリブ海中央ケイマン・トラフから得られた超マフィック岩の再検討し,比較した.両者は,それぞれ高速拡大軸,低速拡大軸下の深部物質を代表している.両者のマントルかんらん岩はそれぞれハルツバーガイト(H),レールゾライト(L)であり大きく異なる.一方,ダナイト〜トロクトライト(D-T)はスピネルのCr#が0.5〜0.6,0.4〜0.5とわずかな違いしかない.この違いは,比較的未分化なMORBの組成が拡大速度にわずかに依存する事と調和的であり,これらは未分化MORBと化学的平衡にある.D-Tと未分化MORBは,既存のかんらん岩とメルトの相互反応の産物であろう. 2.それぞれ高速,低速拡大軸の海洋マントル起原であるオマーン・オフィオライトのマントル部分,およびリザードかんらん岩体を調べ,実際の海洋底の岩石との比較を試みた.オマーン・オフィオライトではヘス・ディープのものと類似するHが卓越する.ただし,大平洋では未発見のLがかなり普遍的に存在しており,レールゾライト〜ハルツバーガイトへの変化の詳細を知ることができる.リザードかんらん岩では,スピネルのCr#が0.1〜0.5のL〜Hが卓越し,Cr#0.3程度のスピネルを含む調和性ダナイトを伴う. 3.超低速拡大軸である南西インド洋海嶺(アトランティスII断裂帯)のかんらん岩を予察的に調べた.ほぼ同一斜面で深部から浅部へ向かってL〜Hの変化が認められた.Hにはしばしばダナイト的な部分があり,またガブロ質やパイロクシナイト質の脈〜層がしばしば認められる.この深さ方向の岩相変化はオマーンなどのオフィオライトでは認められており,海嶺軸下での溶融過程を制約するものとして重要である.今まで海洋底では未確認であり,岩相変化の幅と空間スケールの解析を引き続き行う予定である.
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