配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1998年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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研究概要 |
同位体累帯構造の新発見によって、他に類を見ない精密な変成流体の挙動を探求するのに有効であることを同位体地球化学の成果として残すことができた.特に、申請者が共著者であるGraham et.al.(1998)で示される様に,2次イオン質量分析計(SIMS)による世界で初めての酸素同位体累帯構造の結果は報告したが,本年もこの研究によって,広島県久代において新たなプロファイルを明らかにし,国際会議で発表した(Wada,2000)。 更に本年度は、石灰岩中の石墨と方解石の炭素同位体地質温度計の超高温変成相への適用限界を確かめることも大きな目標であった。超高温変成で知られる南インドの石灰岩中の石墨-方解石の炭素同位体比は、それらの累帯構造を吟味して同位体平衡領域を詳細に検討をすることにより、1,000℃を超える最高平衡温度を示していることが示された(Satish et al.,2001)。この事により炭素同位体地質温度計が適用できる限りの高温においては最も信頼できることが証明された。微量珪酸塩酸素同位体比分析用の5フッ化臭素レーザー分解装置を導入し、微量で酸素同位体比を測定できるように処理装置を完成させ試料調整法を様々な角度から行っており、現在も進行中である。しかし、従来の炭酸塩や石墨のような0.1‰以下の精度で測定することには成功していない。勿論、大きな変化のある場合は十分であるが、更に厳密な議論を展開するためには解決しなければならない問題である。この原因は、珪酸塩の分解によって発生する酸素の収率やそれから炭酸ガスに変換するときの収率によって同位体分別が起こり、より精度を上げることが困難なためである。珪酵塩の酸素同位体を扱う上での現段階での限界と思われる。
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