研究課題/領域番号 |
10440161
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地球化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田上 英一郎 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (50133129)
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研究分担者 |
次田 晧 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (00028284)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
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キーワード | 溶存タンパク質 / 懸濁態タンパク質 / バクテリア / 膜タンパク質 / 海洋 / 抗原-抗体反応 / ポリンタンパク質 / クロロプラストタンパク質 / 溶存態タンパク質 / 海洋環境 / 淡水環境 / タンパク質 / ポリン / グラム陰性細菌 / 植物プランクトン |
研究概要 |
水圏中に存在する懸濁態及び溶存態有機物中には、生物の体内ではなく非生物として存在する特定のタンパク質分子が濃縮して存在していることが、世界で始めてわかった。その中で、海洋の溶存有機物中からは、グラム陰性細菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のチャネルタンパク質であるポリンが溶存態タンパク質として普遍的に存在することが明らかにされた。琵琶湖・湖水中からも溶存態タンパク質分子が検出された。検出したタンパク質分子のうちの一つは、そのN末端アミノ酸配列から、グラム陰性細菌(Bordetella pertussis)の外膜に存在するチャネルタンパク質であるポリンに極めて近いタンパク質であることがわかった。環境が大きく異なる琵琶湖及び海洋において、同様な現象が認められることは、水圏に生息する特定の細菌中の特定のタンパク質が、溶存態タンパク質として選択的に蓄積するメカニズムが存在することを示している。しかし、このメカニズムについては、現在謎である。 海洋表層懸濁態タンパク質は、その中に生物も含むために多数のタンパク質を含み、従来から用いている一次元電気泳動法では、個々のタンパク質を分離する事は不可能であった。このようなタンパク質群にたいして、二次元電気泳動法を適用した。その結果、十数個の主要懸濁態タンパク質を相互に分離することができた。N末端アミノ酸配列から、その内の一つは、真核生物の植物プランクトンのクロロプラストに存在するタンパク質であることがわかった。このことは、溶存態タンパク質の起源が原核生物である細菌である事と大きく異なっている。以上の結果は、諸外国でも報告例が無く、新しく発見された現象であり、その海洋溶存有機物の起源や動態、ひいては地球表層の炭素循環を理解する上で、極めて重要な知見と考えられる。
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