配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
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研究概要 |
過冷却液体やガラスの科学的理解はその分子凝集構造が基本的に無秩序であるために十分に進んでいない。しかし,その性質は低温で特徴的な挙動を示し,その構造の発達が性質の決定に重要な役割を果たしている。我々は,これらの系に対して「秩序クラスター凝集体モデル」を提示してきた。本研究では,そのモデルに基づく新たな現象の発見,解明とともに,二次元系ガラスの形成とその分子配置の直接観察を試みた。 1.液体窒素温度で蒸着,観察可能なトンネル顕微鏡を製作し,o-ターフェニルの同定に成功した。完全な単層膜の作製,観察には未だ成功していない。 2.1および3位の置換基を系統的に変えたベンゼン誘導体のαおよびβ構造緩和過程の誘電測定を行った。β緩和時間はイソプロピル基程度までの大きさや,-OH,-NH_2基の有無に依存しない。一方,α緩和時間は置換基の大きさ,-OH,-NH_2基の有無に強く依存する。また,β緩和強度はαガラス転移温度領域を急冷した場合に,徐冷した場合に比較して大きい。 3.フェニル環を有するトルエンなど7種の化合物において均一核生成主導結晶化を見いだした。結晶核生成においてフェニル環の存在が重要であることを示している。また,結晶成長において結晶核間の界面の構造的整合性が重要な役割を果たすことを明らかにした。 4.o-ベンジルフェノールを融点以上からαガラス転移温度以下に超急冷した後の結晶核の生成を追跡した。その結果,結晶核が生成し,それが消滅すること,さらに長時間保持することにより再生成することを見いだした。 5.トリフェニルフォスファイトにおいて,通常の液相(L_N相)に加えて,他の非晶質相(L_C相)が存在することを確認し,L_C相のα緩和の性質を解明した。その結果に基づき,一般にα分子再配置過程は秩序クラスターの大きさと,クラスター内秩序という相対的に独立した2つの因子により支配され,α緩和時間は基本的にクラスター内秩序度により決定されることを議論した。 6.以上の結果を提示したモデルに基づき議論,検討した。
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