研究課題/領域番号 |
10440187
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 類 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60207256)
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研究分担者 |
林 直人 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (90281104)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 光学分割 / 優先富化現象 / タセミ混晶 / 結晶多形転移 / 相変化 / 結晶構造 / X線構造解析 / 鏡像異性体 / ラセミ混晶 / ラセミ結晶 / 結晶多形 / 多形転移 / 混晶 / ラセミ化合物 / 再結晶 |
研究概要 |
優先富化現象のメカニズムを解明するには、(i)溶液中での超分子会合構造、(ii)過飽和溶液から速度論的に生成する準安定結晶相の結晶構造、(iii)過飽和溶液中で起こる準安定結晶相から安定結晶相への多形転移のメカニズム、を総合的に理解することが必要である。そこで、(i)の理解のために、「溶解度・過溶解度測定」、「溶液中の数平均分子量測定」、「分子動力学法による溶液中の安定超分子会合構造の推定とエネルギー計算」を併用した。ついで、(ii)の準安定結晶の単離については、「種結晶接種によるエピタキシー結晶化法」あるいは「添加物による不要な結晶の核生成・成長阻害による多形制御」を用いた。また、結晶構造解析については、単結晶が得られない場合には、「モンテカルロ法とリートベルト精密化法の併用」により、再現性良く粉末X線回折パターンから結晶構造を解析することが可能となった。さらに、(iii)については、多形転移の有無の確認には「リアルタイムの全反射FT-IR測定法」または「析出結晶のDSC測定」が有効であり、固相型の多形転移のメカニズムは「準安定結晶相と安定結晶相の結晶構造の比較」により推定可能であることが判明した。これらの諸手法を用いることにより、優先富化現象に関する次の4点が明らかとなった。(1)優先富化現象を示す化合物のラセミ体の溶液中では、ホモキラルな分子会合がヘテロキラルな分子会合に優先する。(2)優先富化現象を示す化合物のラセミ結晶の性質は、鏡像体分子(R体とS体)の配列にある程度秩序が見られるラセミ混晶(固溶体)に分類される。(3)過飽和溶液からの結晶化の際に起こる結晶多形転移が優先富化現象のメカニズムに密接に関係している。(4)溶液中での結晶多形転移の前後の結晶構造を比較することにより、固相型結晶多形転移のメカニズムが明らかとなり、このメカニズムを基にして優先富化現象のユニークなメカニズムを合理的に説明できる。
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