研究概要 |
1.5員環アミンの塩である(C_4H_8NH_2)_2MCl_6(M=Sn,Te,Pt)について,^1H NMR,^<35>Cl核四極共鳴(NQR),単結晶X線回折,熱分析(DTA,DSC)および半経験的分子軌道計算を行った。室温における結晶構造を決定し,結晶中におけるピロリジニウムイオンのコンフォメーションならびにコンフォメーション変化に関る運動,固相-固相相転移の機構についての知見を得た。6員環および7員環アミンの塩である(C_<.5>H_<10>NH_2)_2MCl_6,(C_6H_<12>NH_2)_2MCl_6(M=Sn,Te,Pt)について,単結晶X線回折,熱分析(DTA,DSC)を行った。室温における結晶構造を決定し,結晶中におけるC_5H_<10>NH_2^+,C_6H_<12>NH_2^+のコンフォメーションならびに固相-固相相転移についての知見を得た。 2 5員環,6員環,7員環アルキルアンモニウム(C_4H_8NH_2^+,C_5H_<10>NH_2^+,C_6H_<12>NH_2^+)について非経験的分子軌道法(ab initio MO法及びDFT-HF MO法)を用いて,各イオンの安定構造および遷移状態の構造とそのエネルギーを計算した。5員環アルキルアンモニウム(C_4H_8NH_2^+)はシクロペンタン(C_5H_<10>)と異なりC2型が安定であり,Cs型は鞍点になることを見出した。 3.6員環アミンおよび5員環アミンの塩である(C_5H_<10>NH_2)PF_6,(C_4H_8NH_2)ClO_4と(C_4H_8NH_2)PF_6を合成し,^1H,^2H,^<19>F,^<31>Pおよび^<35>Clの核磁気共鳴(NMR),粉末法X線回折,熱分析の実験を行い,固相-固相相転移の存在を明らかにするとともに,各固相中における陽イオンと陰イオンの運動状態についての知見を得た。(C_4H_8NH_2)ClO_4においては250,306,310,342Kに固相-固相相転移が,(C_4H_8NH_2)PF_6においては244と282Kに固相-固相相転移が見出された。両塩の最高温固相の構造はCsClタイプの立方晶であることが分かった。低温側の固相では陽イオンは主にパッカリング運動を,最高温固相においては等方的回転運動に加え自己拡散運動を行っていることを明らかにした。 4.6員環アミンに分類されるモルフォリンとクロラニル酸(C_4H_8NH_2O)(C_6HCl_2O_4)の塩を合成し,室温での結晶構造を単結晶X線回折実験より決定し,モルフォリニウムイオンのコンフォメーションと結晶中の水素結合についての知見を得た。結晶中ではクロラニル酸のみでO...H...O型の一次元水素結合鎖をつくりモルフォリニウムイオンはこの鎖をN-H...O型の水素結合で結んでいることを明らかにした。
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