配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1998年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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研究概要 |
1.イオンの界面透過過程の研究交流ボルタンメトリー法と交流変調電位規制界面蛍光法を用いて,キサンテン色素イオンの遅い界面透過はイオンの界面への吸着によるものであることを,明らかにした.通常では界面活性があるとは考えられていないイオンでも,イオン移動のダイナミックな特性にはその弱い界面活性が重要であることを示した.2.イオンの界面吸着に関する研究界面活性イオンの吸着は,その標準イオン移動電位近傍で常に最大となることを明らかにした.この結論は,イオンの性質や溶媒の性質,共存物質などによらない一般的なものであるので,液液二相系の性質を考えるときの重要な指針となる.3.界面の安定性に関する研究界面不安定性の新しい規準として,界面張力-電位曲線の曲率が正,という新しい関係を見いだした.また,このことを実験的に証明した.この新しい不安定性の概念は,自発的乳化を説明するのみならず,液液界面における振動現象の動因の解明など,これまでに十分には解明されていない界面現象を説明することが出来るという点で,画期的なものである.4.液液界面における帯電粒子のなだれ型融合に関する研究エマルション粒子の界面への融合条件を詳しく検討した.間欠的に観測される電流スパイクが,大きな(直径約200μm)W/Oエマルション(水滴)の界面への融合に起因するものであること,および,この融合にともなって小さなW/Oエマルション粒子の融合が誘起されること,を明らかにし,後者を「なだれ型」融合と名付けた.5.液液二相系化学反応の研究本研究では,第1に,界面電位差を変えることにより水相に溶かしたジアゾニウムイオンを1,2-ジクロロエタン(DCE)に駆動し,DCE中のカプラーとアゾカップリングさせる反応系を構築し,反応機構をおもにサイクリックボルタンメトリ-(CV)を用いて電気化学的に調べた.DCE中でのアゾカップリングで生成した水素イオンがDCE中のとどまらず,水相側に移行するErCiErがより妥当な反応機構であることが明らかになった.さらに,水相側からDCE相に移行してきたジアゾニウムイオンをDCE相側で還元するタイプのEC反応を構築した.生成した芳香族ラジカルをもちいてスチレンのラジカル重合を界面で行わせることが出来ることを示した.6.有機薄膜液相系における電子移動-イオン移動共役のボルタンメトリーロ液液界面では,電子移動(ET)とイオン移動(IT)が界面電位差を媒介として共役しうる.チオールの自己組織化単分子膜で被覆したAu(111)電極上に有機薄膜を形成し,それを水相と接触させ電極|有機薄膜|水系におけるボルタンメトリーの実験的および理論的研究を行った.このタイプの系における有機薄膜|水界面のET-IT共役を定量的に明らかにした.
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