配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1999年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1998年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
クラミドモナスの分子遺伝学的方法によって、クロロフィルb合成に関与する遺伝子を単離した。この遺伝子は,2Fe-2S型リースケセンターと非ヘム鉄の結合ドメインを持っており,他のオキシゲナーゼとアミノ酸配列の相同性が見られた。そこでこの遺伝子をChlorophyll a oxygenase(CAO)と名づけた。 次にCAOの機能を詳しく調べるため、シロイヌナズナからCAOを単離し、これを大腸菌で発現させ,in vitroで活性測定をおこなった。その結果CAOは二段階の酸素添加反応を触媒し,クロロフィルaをクロロフィルbに転換する酵素であることが分かった。さらに、フェレドキシンから電子を受け取り、この還元力を用いて酸素添加反応を触媒することも明らかになった。 シロイヌナズナの野生型、及びクロロフィルb欠損株に、35Sプロモーター制御のCAOを導入した。導入した株を様々な光条件下で育て、クロロフィルbの蓄積を調べた。その結果、CAOの発現が誘導されている株ではクロロフィルbの合成が高まり、野生型より低いクロロフィルa/クロロフィルb比が得られた。 また,低照度では高照度と比較して、低いクロロフィルa/クロロフィルb比を示し,したがって大きな集光装置をもっている。このように、シロイヌナズナの場合も、光環境に適応して、集光装置の大きさを変化させ、光エネルギーの捕捉を調節していると考えられる。しかし、CAOを過剰発現させた株では、そのような制御は見られず,常に低いクロロフィルa/クロロフィルb比をしめした。このことは、光強度が何らかの機構でCAOの発現を調節し、クロロフィルa/クロロフィルb比を制御していることを示している。これらの結果はクロロフィルa/クロロフィルb比の調節は、CAOの発現を通じておこなわれていることを強く示唆している。
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