研究概要 |
本研究では,周波数シフト帰還型レーザー(FSFレーザー)の新たな応用として,物質のパルス光に対する応答を連続光を用いて解析する新しい測定方法の研究を行った. 1.相関領域分光法 周波数チャープした光源を用いることにより,物質のインパルス応答を連続光で測定できる相関領域分光法について理論的な検討を行った.この原理を実証するために行った実験では,周波数チャープ光源として,周波数シフト帰還型レーザーを用いた.これにより原理の実証に十分な高い周波数チャープの線形性が得られ,光ファイバーループのインパルス応答を連続光により時間分解能5nsでインパルス応答が測定可能であることを実証した.この手法は,光損傷しきい値が低く,パルス光によるインパルス応答測定が難しい物質でも,連続光により測定が可能であるという特長を有しており,今後の研究の進展により,生体試料などへの展開が期待される. 2.光ファイバの伝搬諸定数の分光測定 1.5μm帯で発振する広帯域波長可変周波数シフト帰還型レーザーを,エルビウム添加光ファイバを利得媒質として作製し,10nm程度の波長域で出力波長を変化することができる周波数チャープ光源を実現した.この光源を用いることによる光ファイバの群速度分散および偏波モード分散を測定方法を提案し,実用上十分な精度で測定可能であることを実証し、発展しつつある超高速光通信網の管理において有用な手法であることを示した.
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