研究概要 |
従来の研削砥石は砥粒,結合剤,気孔の三要素を主体とした機能的研削能力のみを考慮した製品であり,潤滑性向上のために微量の添加剤を加える程度の付加機能しか行われていない.こうした観点でマイクロカプセル化された化学物質を第4の要素として研削砥石に加えれば,大幅に研削砥石の機能を高めることになる.また,マイクロカプセルは水溶液中においてコロイド状で存在するため,界面電気現象(電気泳動現象)を利用した砥石の製造技術を転用することが可能であり,これにより従来にはない分散性に優れた砥石の製造が可能となる. そこで,In Situ重合法を利用してPFPE(パーフルオロポリエーテル)オイルを封入したマイクロカプセルを開発した.そして,これを砥石中に分散させたマイクロカプセルラッピング砥石を開発した.PFPEオイルは,境界潤滑下でアルミニウム等の軟質金属やシリコンと反応してフッ化物を生成する.このフッ化物により軟質金属やシリコンの切りくず排出を促して目詰まりを防ぎながら良好な加工面を得ることができるようになった. このように研削砥石に化学的作用の付加機能を目指す本研究の成果は,従来にはない研削砥石の画期的な機能向上を促すものとなった.
|