配分額 *注記 |
10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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研究概要 |
ナノメートルオーダーの粗さをもつ摺動面の,薄膜混合潤滑状態での潤滑膜形成について多角的に検討し,ナノ粗さによる潤滑膜形成への影響と,その潤滑剤分子構造による違いを示唆する以下の成果を得た. 1.スパッタリングによるガラス円板への2層膜コーティングにおいて,スパッタパワー,基板温度,雰囲気圧力などの条件を変えることにより,表面粗さの大小だけでなく異なる粗さ構造を任意に作成することを可能にした.また,分子付着による表面成長モデルの数値シミュレーションを行い,この成膜条件と粗さとの関係を説明した. 2.超薄膜光干渉法による潤滑膜厚測定装置を設計製作し,滑り及び転がり接触下のナノ潤滑膜厚の測定を測定精度2nmにて行った. 3.上記実験により,厚さ十数ナノメートル以下の潤滑膜の形成は,液体分子の大きさと構造によって異なることを見出した.極性分子では粗さが小さい表面において多層吸着膜を形成しやすく,非極性分子では摺動面の粗さが大きいほどナノ薄膜が形成されやすい.前者は吸着膜形成から流体膜形成へ移行の機構が,後者は潤滑部上流での流体の供給が関連する. 4.蛍光法によるナノメートルオーダーの膜厚測定における問題点を検討し,その改善策を考案した. 5.等加速度条件下のEHL膜厚に関する検討から,厚さ数十ナノメートル以下の潤滑膜は,潤滑部のかなり上流での流体の供給の良否に左右されることを示した. 6.表面の濡れ性に関する測定を行い,シリカ表面での液膜の拡がり速度は,表面粗さと液体分子の構造によって異なることを見出した.極性分子は粗さが小さい表面で拡がりやすく,非極性分子は粗さが大きい表面で拡がりやすい. 7.分子動力学法による単純化したシミュレーションにより,液膜の拡がりにおいて微細粗さが流体分子の流れに影響を及ぼすことを示唆する結果を得た.
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