研究概要 |
水は微弱ではあるが反磁性をもつため空気中では非常に強力な磁場をかけると反発力によって水面の一部が押し下げられ水の壁が生じる。この現象はモーゼ効果と呼ばれているが,このような磁場に対する反発力を利用すれば反磁流体を非接触で浮揚,保持することができ,また,長い磁場を用いれば磁場により空中に仮想の流路を作り出し,この中を流体を流動させることができる。これらの現象は不純物の混入を排した新しい材料プロセス法,薬剤を患部に集中させ副作用を防ぐ新しい投薬法,あるいは微小重力場の模擬環境の形成として利用できる可能性がある。 本現象の基本は被浮揚液体の磁化率が周囲流体のものより相対的に小さいことであるから,周囲流体として磁化率の大きい磁性流体を用いれば通常の磁場でも同様の効果が生じ,本現象を模擬することができる。 具体的には対向磁極による液滴の浮揚,長い一様磁揚を用いた仮想流路の形成,非一様磁場を用いた仮想分岐流路の形成について実験を行うとともに解析的,数値解析的研究を行い,これらに及ぼす磁場の強さ,磁場分布,磁化率の差,表面張力の影響を調べた。
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