研究概要 |
本研究では,伸長特性が重要な役割を果たすと考えられる流れ場を考え,複雑流体の流動解析を行った.ここでは,複雑流体の中から高分子溶液(粘弾性流体)と液晶高分子を取りあげた. 高分子水溶液では,矩形管急拡大流路における粘弾性流体のスタートアップ流れの可視化と,レーザー・ドップラー流速系(LDV)を用いた流速測定を行った.拡大部入り口直後において,ニュートン流体の流れでは見られない得異なフローパターンの時間変化や流速分布の時間変化が観測された.本実験で観測された流動挙動は,拡大部付近の伸長流れと流体の持つ伸長特性に関連するものと予想される.また,数値シミュレーションの結果からも,それらの挙動が流体の伸長特性と関係することが分かった. 液晶高分子関係では,液晶配向膜への応用面から,コーティング流れの研究を行った.Hydroxypropylcellulose(HPC)水溶液をガラス基盤にコーティングした膜表面において低分子液晶(5CB)の平面配向を得た.さらに,構成式にDoiもでるを用いた液晶高分子のコーティング流れのシミュレーションにより,等方相溶液であっても,ダイ出口での伸長流れにより表面近傍において高配向が実現されることが明らかとなった. また,流体の伸長特性の定量的評価のために,非定常一軸伸長粘度を測定するためのフィラメントストレッチ型レオメーターを製作した.この装置を用いて,高分子水溶液(ポリアクリルアミド水溶液)の非定常一軸伸長粘度を測定した.さらに,フィラメントの伸長速度を一定に保つための伸長アルゴリズムの改良も試みた.
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