研究概要 |
平成11年度では,平成10年度に行った周波数450kHz,出力50kWのパルス変調可能な高周波プラズマ炉の設計と製作ならびに安定発生実験に基づいて,以下の実験と検討を行った。 1)大気圧SF_6,N_2誘導熱プラズマ発生 特にSF_6は強い消弧性能を有する電気的負性気体であるのでその安定発生には,圧力が高い1気圧レベルでは単原子気体であるArガス等と比べてかなりの電源容量が必要と予想された。純粋なSF_6,N_2ガス誘導熱プラズマを形成するための必要パワーを,導電率,熱伝導率の理論的検討を行った後,発生実験を行い,この圧力レベルで初めてこの種の負性気体の誘導プラズマ発生に成功した。また,現有設備最大容量をこれまでの50kWから200kWまで上げ,十分安定なSF_6,N_2大気圧熱プラズマが発生できるようになった。 2)誘導熱プラズマのパルス運転実験 本研究でもっとも重要なパルス変調誘導熱プラズマ実験においても,周波数450kHz,出力40kW,圧力1気圧において,パルスプラズマの発生に成功し,種々のDuty Factorレベルで運転できることを確認した。コイル電流の立ち上がり,立ち下がりは1msを切る良好なパルス状で世界ではじめてこの種の有用なプラズマを持つことができた。また,Ar-N_2,Ar-H2を用いたパルスプラズマにおいて,パルスオフ時の電流レベルを変えることによって,プラズマの減衰時定数を詳細に調べることが可能であることがわかり,消弧性能の検証に十分このパルスプラズマが適用できることがわかった。 3)SF_6,N_2誘導プラズマの温度場の計測 Ar原子(微量に混入;SF_6やN_2とは無反応)からのスペクトル線をマルチチャンネル同時測光することにより,発生した高温場の温度分布計測を行った。特に,SF_6ガス混入の影響は,プラズマ半径の収縮,プラズマ温度の低下という形で発現しこのガスの消弧性能を誘導プラズマにおいて検証できた。N_2はSF_6程の性能は予想したとおり発揮しなかったが,圧力を高める(N_2濃度を上げる)ことにより,等価的に消弧性能を上げることができることが判明した。
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