研究課題/領域番号 |
10450110
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陽 完治 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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研究分担者 |
雨宮 好仁 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80250489)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
12,200千円 (直接経費: 12,200千円)
1999年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1998年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
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キーワード | 量子細線 / 自己組織化 / 両性不純物 / 自己選択性ドーピング / 分子線エピタキシー / 静電気力顕微鏡 / 量子コンピューティング / 単電子回路 |
研究概要 |
本研究計画では、独自の量子細線技術を確立、発展させ、それに基づく「量子デバイス」を実現するための基礎を確立することを目的としているが、本年度は、(311)A GaAs基板を用いて斜面に量子細線を形成する構造の極低温での1次元電子輸送特性および細線トランジスタのFETとしての電気特性を検討した。得られた成果の概略を以下に記す。 (1)液体ヘリウム温度近傍における、電流がピンチオフする近傍で、量子細線に沿ったポテンシャルの揺らぎに起因すると考えられる単電子振動が明瞭に観測された。液体ヘリウム温度近傍において温度を変化させ、また外部磁場を変化させることにより輸送特性を詳細に調べた結果、量子細線に沿ったポテンシャルの揺らぎが、ピンチオフ近傍で明瞭になるため、飛び石状の電子溜めができて単電子振動があらわたことが明らかになった。但し、単電子閉じ込めポテンシャルは小さく、このことは、むしろ量子細線に沿ったポテンシャルの一様性を示すものと解釈できる。 また、1次元性を明瞭に示す輸送特性としてゲート電圧に対するコンダクタンスの振動を4Kおよび77Kで観測した。室温においては、なんらかの振動は認められるものの、熱エネルギーによる波形のボケが観測された。このことは、少なくとも4Kから77K以上のかなり高温までサブレベル間の電子波の混合が起こらずに1次元伝導が実現できていることを強く示唆していると思われる。 (2)作製した細線トランジスタのFETとしての電気特性を見ると、チャンネル長1.5μmの単位チャンネル幅当たりの相互コンダクタンが、580mS/mm(室温)、650mS/mm(77K)とGaAs/AlGaAsヘテロ接合トランジスタとしては高く、良質な擬1次元電子系ができていることを示していることが判明した。また、ゲート・リーク電流が数十ピコアンペアと低いことも明らかになったことと合わせて、集積化合物半導体デバイスヘの細線トランジスタの新たな応用の展望も開ける可能性も示している。
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