研究課題/領域番号 |
10450127
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
川原田 洋 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90161380)
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研究分担者 |
長澤 弘幸 HOYA(株)'R&Dセンター, グループリーダー
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1998年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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キーワード | ダイアモンド / 水素終端表面伝導層 / 電界効果トランジスタ / 遮断周波数 / 最大発振周波数 / 破壊電圧 / MESFET / MISFET / ダイヤモンド / ヘテロエピタキシャル / 表面チャネル / ゲート長 / FET / サブミクロン / ナノスケール / 高耐圧FET / 高周波FET |
研究概要 |
本研究では、研究代表者らが開発したダイヤモンド表面チャネル型FETの特性向上を行い、高耐圧、高周波でのデバイス動作を検討することを目的とし、従来のSi、GaAsもしくはワイドギャップ半導体であるSiC、GaNと比較し、より高い電力駆動能力を示すトランジスタの試作検討を3ヶ年にて行った。 これにより、(1)ダイヤモンド水素終端構造にダメージを与えずに自己整合的にゲートを作製するプロセスを独自に開発し、ゲート長の微細化とともに寄生抵抗成分となるソース・ゲート、ゲート・ドレイン間隔を狭めることに成功した。このプロセスの実現により、ゲート長1μm、ソース・ゲート間隔0.1μm程度のCuゲートMESFETにおいて110mS/mmの相互コンダクタンスが実現した。(2)CaF 2をゲート絶縁膜に用いたダイヤモンドMIS構造を形成し、同様のプロセスを用いてMISFETを作製した。このMISFETは最大で90mS/mmの相互コンダクタンスが実現している(ゲート長1.2μm)。また、このMISFETにおいてはSiC-MOSFETの特性の二倍以上にあたる250cm^2/Vsの高い実効移動度が得られた。(3)ダイヤモンドトランジスタでは初めてめっきプロセスを利用し、オンウェハにてダイヤモンドMESFETにおける高周波散乱パラメータ測定を行った。これにより世界に先駆けてダイヤモンドトランジスタの高周波動作を確認した。2μmクラスのMESFETにおいては、遮断周波数2.2GHz、最大発振周波数7GHzと比較的高い値であったが、これは研究代表者らが開発したダイヤモンドFETの高い相互コンダクタンスを反映している結果である。(4)MIS構造のCaF 2パッシベート効果による高い移動度、およびゲート絶縁膜の挿入による低いゲート容量を反映させることにより、MISFETはMESFETよりも高周波特性に有利であると考え、MISFETにおける高周波動作を確認した。作製したMISFETはゲート長0.6μmで11GHzの遮断周波数と18GHzの最大発振周波数を実現しており、今後ゲート長の微細化によって他のワィドギャップ半導体の特性を凌ぐ特性が得られると考えられる。(5)ダイヤモンドの高い破壊電界を反映して、5μmのゲート長において200Vを超える破壊電界を有するMESFETの作製に成功した。また、二次元デバイスシミュレーションを用いて、ゲート・ドレイン間隔を広げることにより破壊電圧が得られることが示され、ゲート長0.5μmにおいて、ゲート・ドレイン間隔を0.8μmにすることにより、遮断周波数11GHzを得つつも破壊電圧150Vが同時に得られることが示された。 以上、水素終端ダイヤモンドFET作製プロセスを独自に開発することによりダイヤモンドの持つポテンシャルを引き出すことを可能とし、高周波動作および高出力動作に成功した。
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