研究課題/領域番号 |
10450139
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子デバイス・機器工学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松山 公秀 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (80165919)
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研究分担者 |
能崎 幸雄 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助手 (30304760)
中司 賢一 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (50237252)
浅田 裕法 山口大学, 工学部, 助教授 (70201887)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1998年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 巨大磁気抵抗効果 / 磁気薄膜 / スピン依存型電子散乱 / スピンバルブ / 磁性薄膜 / スピンパルプ |
研究概要 |
スピン偏極電子流を利用したスピンデバイスの実現に向け、強磁性体/酸化物半導体ハイブリッド人工格子膜を作製し、構造解析、磁気および電気伝導特性評価を行い、以下の成果を得た。 1)3元マグネトロンスパッタ装置を用いてSnO_xおよびTiO_xの酸化物半導体膜を成膜し、X線回折による結晶構造解析、および電気伝導特性を調べた。その結果、Arガスを用いた室温成膜では両者とも微結晶構造またはアモルファス構造を有し、200℃以上の基板加熱やAr/O_2混合ガスを用いた反応性スパッタリングにより、TiO_2およびSnO_2相が得られることが分かった。 2)Arガスを用いた室温成膜で作製した試料の電気伝導度は、SnO_x,TiO_x共に10^<-1>〜10^<-2>Ω・mを示した。TiO_x膜に関してはTiO_2相に近い値であるのに対し、SnO_x膜はSnO_2相の値に比べて2桁程度大きい。これは、スパッタ中にO_2ガスを導入しなかったことにより、キャリア濃度、移動度の小さなSnO相が形成されたためと考えられる。 3)CoPt(10nm)/Co(2nm)/MO_x(t)/Co(4nm)/MO_x(t)/Co(2nm)/CoPt(10nm),(M=Sn,Ti)を用いて膜面垂直電流路(CPP)素子を作製し、電気抵抗率の温度依存性を調べた。その結果、TiO_xに比べてSnO_xを用いた場合にはシャント電流路が形成されやすく、t>4nmでも半導体的伝導特性を実現しにくいことがわかった。また、半導体的伝導特性を示したt=4nm,M=Sn,Tiについて磁気抵抗測定をした結果、TiO_xに比べてSnO_xを用いた場合の方が5倍近く大きなMR変化率(1.0%at300K,2.1%at77K)が得られた。それぞれの磁気抵抗曲線から見積もられる飽和磁場は、SnO_xの場合にはCoPt(10nm)の保磁力に相当する1kOe程度であったのに対し、TiO_xを用いた場合4kOeの磁場領域まで磁気抵抗が緩やかに線形減少するグラニュラー膜特有のMR曲線が得られた。これは、Co/TiO_x界面において原子拡散が生じやすいことを示唆しており、これがMR変化率の低下を引き起こすことがわかった。
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