研究概要 |
伝送路の中点で光位相共役を行うことは,長距離光ファイバ伝送システムにおける分散および非線形性を補償する有力な方法である。光位相共役を実現するためには,分散シフト光ファイバや半導体光増幅器の四光波混合を用い,波長シフトした位相共役光を光フィルタで切り出す方法が最も一般的に用いられる。しかしEDFAの帯域を有効に活用し,WDMシステムの波長数を増加させるためには,波長シフトのない位相共役デバイスの開発が望まれる。本研究では,非線形ファイバサニャック干渉計を用いた,波長シフトおよび偏波依存性のない新しい構成の位相共役器を提案し,その原理を実験的に検証した。次にこのデバイスを用いて,位相共役光通信システムを構築した。40kmの通常分散ファイバ伝送リンクの中点に位相共役器を配置して分散補償を行い,2psのパルス伝送に成功した。伝送されたパルス幅は,ファイバの分散スロープの影響を受けていることが示された。受信端でさらに分散スロープを個別に補償することにより,ほぼ無歪みのパルス伝送が実現された。
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