配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2000年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1998年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
本研究では,高橋脚建設に不可欠な中空断面コンクリート系橋脚の耐震安全性について検討してきた.中空断面RC高橋脚について,得られた知見は以下の通りである. 1.静的載荷実験を行った結果,せん断スパン比の相違が破壊性状や変形性能に与える影響が大きく,せん断スパン比の小さい橋脚では,せん断破壊モードの卓越する可能性が大きい.深い渓谷部を渡る高橋脚橋梁は一般的に不等高橋脚を有する場合が多いことから,背の低い橋脚に対する変形性能に関する検討が重要となる. 2.繰り返し正負交番荷重を受ける場合はせん断変形の成分を無視できない.変位振幅が同じであっても繰り返し回数が増えるとともに,せん断変形は単調増加していく.つまり繰り返し変形による曲げ破壊からせん断破壊への移行を示しており,特にウェブ幅が薄い中空断面部材ではその影響は大きい. 3.ハイブリッド地震応答実験を実施した結果,適切にせん断補強された供試体では,終局付近まで変形したものの安定した履歴形状を示している. 4.神戸海洋気象台波を入力した場合,載荷初期に大きな変形を呈し,その荷重-変位包絡線は変位の正負側で耐力差が表れるなど,正負交番振幅漸増載荷実験結果と異なる結果となった.このことは載荷履歴の影響が大きいことを示しており,特に直下型地震動に対する検討をする必要がある. 5.中空断面RC部材の変形を曲げ変形のみで考えると,力学的現象を適切に捉えることができないと考えられる.現在,性能設計の考え方が我が国でも広まりつつあるが,せん断や主筋の引き抜けによる変形を適切に設計変位に取り入れることができれば,より合理的な設計が可能となる. 6.本研究より,せん断挙動が与える影響が大きい中空断面RC部材では,曲げのみを考慮したような解析法では限界があると考えられる.そのため曲げとせん断の連成や繰り返し載荷の影響を考慮した解析法の開発が重要であると考えられる.
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