研究概要 |
平成10年度は静弾性クラック問題の定式化,及び数値解析を行い,Galerkinを用いた多重極法により数十万元規模の問題がPC1台で解析出来ることを示した.しかし,動弾性問題においては,当初予定していた対角形式の利用が,精度上好ましくないことが明らかとなり,対角形式を用いない手法の開発の必要性が示された.平成11年度は,先ず,動弾性問題の解析に先立って,3次元Helmholtz方程式のクラック問題における多重極法を定式化した.特に,Wigner 3-j symbolを用いた定式化を検討した.次に,2,3次元動弾性問題において,高速多重極展開法の定式化を行った.従来行われてきたGalerkinベクトルに基づく定式化は2次元で4個,3次元で6個のモーメントを使用するのに対して,新しい定式化ではモーメントは2次元で2個,3次元で4個となる.このため,既存の解法より効率の高い定式化を得ることが出来た.さらに,2,3次元動弾性波動問題における高速多重極展開法のコード開発を行い,パーソナルコンピュータ1台で数十万元規模の問題を解くことが出来るコードを得た.次に,静的な2次元クラック問題の多重極法のコードをMPIを用いてパラレル化し,パーソナルコンピュータクラスタによってスケーラビリティを確認した.さらに得られた並列化技術を動弾性問題に拡張した.最後に,今後の発展に繁げるために3次元Laplace方程式のクラック問題について指数形式による多重極法をコード化し,従来の多重極法よりさらに高速な解析が可能であることを確かめた.
|