研究概要 |
構造物あるいはその部材のフレキシブル化に伴い,風などの外乱による振動制御が重要な課題になっている.特に斜張橋のケーブルは振動事例も多く,スパンが100mを越すものについては,端部近くにダンパーを設置するのは普通となりつつある.現在,粘弾性体やオイルを用いたダンパーが広く使われているが,コストや維持管理の負担の少ないダンパーの開発が望まれている. ケーブル端部近くに磁石を置き,磁石と風による自励振動をするケーブルとの吸着・離脱を利用したダンパーが提案されているが,そのメカニズム,設計法は確立していない.本研究は,この磁石ダンパーの振動効果を理論的に明らかにするとともに,さらにセミアクティブ制御によるより効率的な制振法を提案する. まず,ケーブル端部近くに磁石を置いた系を想定した2自由度モデルによる基本的検討を行っている.風による自励力としては3次速度比例モデルを想定している.非線形振動理論を展開し.その振動メカニズムが,振動するケーブルが磁石から離脱する際に低次モードから高次モードに移行し,高次モードでは高い空力減衰であることをあきらかにした. また,ダンパーの磁力,ケーブルとの間隔がその制振性能に及ぼす結果を明らかにし,設計への有用な資料を示している.さらに,磁力の大きさを変化させるセミアクティブ制御法を提案し,その高い効果を明らかにしている.さらに,連続構造体であるケーブルを対象にし,シミュレーションによりその効果を明らかにしている.
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