配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
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研究概要 |
本研究ではCaO-Y_2O_3-SiO_2系において生成する結晶相を調べ、それらの結晶構造を明らかにすることを目的とした。また本研究を進める過程でCa_3Y_2Si_3O_<12>とCa_3Y_2Si_6O_<18>の組成の新しい化合物が見出されたので、これらの化合物の単結晶を作製し、単結晶X線構造解析を行った。 CaO-Y_2O_3-SiO_2三成分系において1700Kで合成される三成分系酸化物は、アパタイト型構造のCa_2Y_8Si_6O_<26>、カスピディン型構造のCa_2Y_2Si_2O_9、新規化合物のCa_3Y_2Si_3O_<12>およびCa_3Y_2Si_6O_<18>の4種類であった。アパタイト型構造を持つ化合物の単一相は、Ca_2Y_8Si_6O_<26>の組成で合成された。この相は六方晶系で、格子定数はa=b=0.9341(1),c=0.6788(1)nmであった。アパタイト型化合物として従来報告されていたCa_3Y_6Si_6O_<24>の組成で焼成したところ、アパタイト相(Ca_2Y_8Si_6O_<26>)とCaSiO_3の2相となり、Ca_4Y_6Si_6O_<25>組成ではアパタイト相(Ca_2Y_8Si_6O_<26>)とCa_3Y_2Si_3O_<12>の2相となった。Ca_2Y_2Si_2O_9は単斜晶系(a=0.74468(3),b=1.049240(3),c=1.09661(4)nm,β=110.170(3)°)のカスピディン型構造を有する化合物であることが判明した。Ca_2Y_2Si_2O_9を1900Kで焼成した試料の結晶相は斜方晶系で空間群Pnmaであることが単結晶X線構造解析の結果より明らかとなり、Ca_2Y_2Si_2O_9は規則-不規則の可逆的相転移をすることが判明した。 本研究で新たに見出されたCa_3Y_2Si_3O_<12>はシリコカルノタイト(Ca_5〔PO_4〕_2SiO_4)と同型構造を持つことがわかり、斜方晶系で格子定数はa=0.65574(2),b=1.56066(3),c=1.00399(2)nmであった。新規化合物Ca_3Y_2Si_6O_<18>は単結晶系で、a=1.33422(5),b=0.77320(3),c=1.47959(6)nm,β=90.263(3)゜で、その結晶構造はケイ酸塩では比較的珍しいSiO_4の三員環からなることが明らかになった。 本研究において、CaO-Y_2O_3-SiO_2三成分系という比較的単純な系で新しい化合物を3種類も発見することができた。新規化合物の更なる発見と、光学的性質と結晶構造との詳細な研究の展開が期待される。
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