研究課題/領域番号 |
10450241
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
細野 秀雄 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30157028)
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研究分担者 |
川副 博司 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (80087288)
嶋川 晃一 岐阜大学, 工学部, 教授 (60021614)
植田 和茂 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (70302982)
田中 啓司 北海道大学, 工学部, 教授 (20002313)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
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キーワード | アモルファス / 半導体 / 透明半導体 / 電子輸送特性 / 透明導電体 / アモルファス半導体 / 透明酸化物 / 電子状態 / イオン注入 / 自由電子吸収 |
研究概要 |
ガラスに代表されるように透明なアモルファス物質は電気的に絶縁性であることは「暗黙の常識」であろう。本研究者らは酸化物のバンド構造に関する化学的考察から設定した候補物質探索指針を設定し、それに基づきAgSbO_3やCdPbO_3など一連の透明伝導性アモルファス酸化物を発見した。これらの物質はホール効果のPN異常が見られないなどこれまでのアモルファス半導体にはみられないユニークな電子輸送特性をもつ。本研究は透明伝導性アルファモスの設計指針の確立と特異的な電子輸送特性の解明を目指して行なわれたものである。2年間の主な研究成果は以下のようにまとめられる。 (1)(n-1)d^<10>ns^0(n>4)なる電子配置を有する金属イオンの酸化物が候補物質である、という指針から選択した2CdO-GeO_2アモルファス薄膜が透明(バンドギャップ3.5eV)でありながら、イオン注入によって絶縁体から縮退半導体(伝導率200Scm^<-1>)へ転化できることを見出した。これはフェルミレベルが禁制帯の中央付近から伝導帯の低部まで連続的に制御できることを意味する。 (2)高伝導性2CdO-GeO_2およびCdO-PbO_2アモルファス薄膜の自由電子キャリアの光吸収帯はDrudeモデルを用い解析した。アモルファスでありながら、単一の緩和時間でフィットができ、平均自由工程、有効質量、そして微視的移動度という電子輸送特性に関する基本的パラメータを求めることができた。 (3)高伝導性2CdO-GeO_2薄膜を対象にX線動径分布関数を測定し、構造解析を行なった。その結果、Cd^<2+>とGe^<4+>のまわりの酸素配位数はそれぞれ〜6と〜4であり、対応する結晶相であるCd_2GeO_4(オリビン構造)中のそれを類似であった。よって、アモルファスであっても局所的には伝導性である結晶と類似も構造を有しており、伝導性も結晶の状態の性質を反映しているものと解釈される。この構造的知見は(3)のキャリアの吸収が単一の緩和時間で記述できるという結果と矛盾しない。 (4)透明伝導性酸化物の探索指針をアモルファスカルコゲナイド系に拡張し、これまでP型伝導性に限定されていたカルコゲナイド系ではじめてN型で高伝導性を示す物質、 Cd-In-Sを発見した。この物質もホール効果のPN異常を示さず、Seebeck係数、ホール係数ともマイナスであった。
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