配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1998年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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研究概要 |
臨界温度・電流・磁場などの超伝導特性は,超伝導線材に作製・使用中に高い機械的・電磁気学的応力が負荷されると変化する。本研究では,超伝導材料工学と材料力学,特に構造用繊維強化複合材料研究で培われた知識や手法,を結び付け,多芯Nb_3Al/CuおよびNb-Ti/Cu複合線材を対象として,『静的および繰り返し(疲労)応力下での,損傷の発生,成長,集積を力学的見地から明らかにしたうえで,その挙動と超伝導特性の相関を評価』した。主な成果は以下の通りである。(1)超伝導複合線材中のNb_3AlおよびNb-Tiフィラメント,安定化銅の優先方位を中性子回折から明らかにした。(2)複合線材中でNb_3Alフィラメントは脆性破壊するが,Nb-Tiフィラメントは延性を持っているため,複合材中ではフィラメントと安定化銅の力学的相互作用でネッキングの進行と抑制が繰り返され,マルティプルネッキング現象を呈すること,その結果フィラメント単独時に比して延性が改善されること,またそれによって高歪まで高い臨界電流が保持され得ることを明らかにした。(3)脆いNb_3Alフィラメントの強度のばらつきは大きいが,複合材のそれは小さくなること,およびフィラメントは長くなると急激に強度低下をするが,複合線材の強度は長くなっても僅かしか低下しないことを実験的に確かめ,モンテカルロシミュレーションで再現した。この結果は,強度を担うフィラメントの強度のばらつきが大きくとも強度的信頼性の高い超伝導複合線材の作製が可能であることを初めて実験・理論両面より証明したものである。(4)繰り返し応力下では,まずクラッド銅でき裂が発生し(Stage I),それがコア部に安定的に進行する(Stage II)。この過程で銅き裂がフィラメントに進展し,超伝導電流輸送能および荷重負担能力を低下させる。
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