配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1998年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
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研究概要 |
高レベル放射性廃棄物の地層処分環境におけるチタン製オーバーパックの腐食挙動を明らかにすることを目的として,還元性の模擬ベントナイト接触水中におけるチタン表面酸化皮膜の変質過程と応力腐食割れ挙動について検討した。得られた主要な成果は次のようにまとめられる。 1.長期間浸漬による腐食電位変化の測定と表面皮膜性状変化の解析:ベントナイト接触水+0〜0.5M-NaCl溶液(温度:50℃,95℃)中で浸漬腐食試験を行い,腐食電位と表面皮膜性状の変化を調べた。その結果,腐食電位はほぼ一定であり,NaCl濃度の影響もほとんどないことが分かった。皮膜性状の中では化学組成に変化が見られ,1年半までは時間の経過と共に皮膜中のOH結合の割合が僅かずつ増加するが,それ以降の変化は少ないことが分かった。 2.空気中生成皮膜のカソード劣化過程の解析:空気中生成皮膜で覆われたチタンを模擬ベントナイト接触水(5.72mM-Na_2SO_4+7.99mM-NaHCO_3)に浸漬し,電気化学的カソード分極を行いながら皮膜性状の変化を解析した。その結果,腐食電位から-0.8Vまでの電位範囲では,皮膜の厚さや組成に大きな変化は起こらないが,電位が-0.8V以下になると,膜厚は減少し,皮膜の屈折率は低下,吸収係数は増加することが分かった。このような屈折率および吸収係数の変化は予備酸化条件(温度50℃および100℃,湿度40%と80%)の違いによらずほぼ同じであった。 3.カソード分極下におけるチタンの応力腐食割れ挙動の解析:模擬ベントナイト接触水中で定電位応力腐食割れ試験を行った。その結果,水素発生域の電位では水素脆化を原因とする割れが発生するが,地層処分の実環境に相当する電位範囲では割れの発生は起こりにくいことが推察された。
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