配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1998年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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研究概要 |
MoS_2にアルカリ金属を添加した触媒は合成ガスからC_1〜C_5のアルコールを生成し,耐硫黄性を有することが知られている。しかし,その活性は耐硫黄性のないCu/Zn系触媒より低く,メタノールの生成割合が多いという欠点がある。本研究課題では活性試験や触媒の表面微細構造解析によりMo系硫化物触媒の活性,選択性の支配因子を明らかにし,その知見をもとに新しい触媒調製法を開発してアルコール合成活性,選択性を向上させることを目的とした。 Mo系硫化物触媒は燃料油の水素化精製反応に広く用いられており,硫化物の硫黄がH_2Sとして脱離することにより形成する配位不飽和サイトが活性サイトと推定されている。一方,CO水素化反応では硫化物の配位不飽和度と活性,選択性との関係は明らかにされていない。本触媒では流通時間の経過に伴いアルコールの選択性が増加することが知られているが,本研究ではアルコールの選択性の増加に伴いH_2Sが脱離することを明らかにした。反応雰囲気におかれた触媒の表面微細構造をプローブ分子を用いたFTIR分光法で調べた結果,反応中にMo側の配位不飽和度が増加していることが推定された。EXAFS分光法の結果とあわせて,反応雰囲気ではKのサイトおよびKと相互作用したMoS_2類似構造のエッジサイトが形成すると推定された。また,触媒の表面微細構造は気相のH_2S濃度に応じてダイナミックに変化することも示唆された。そこで,表面積の大きなMoS_2を調製し,その表面にアルカリ金属を均一に分散させることを試みた。これまで本触媒系では表面積が高々数+m^2/gのMoS_2が用いられてきたが,高表面積化(220m^2/g)により,上記したKとMoの相互作用種の数の増加だけでなく,質の変化も期待される。調製法を最適化した結果,従来の低表面積触媒より高いアルコール収量が得られるだけでなく,メタノールの生成割合を低く抑えることができた。
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