配分額 *注記 |
10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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研究概要 |
1)プロトン移動を経由するフォトクロミック反応 サリチリデンアニリン誘導体(SA)のフォトクロミック反応において,プロトン移動速度を約200〜300fsであると求めると共に,フェムト秒分光と半経験的な分子軌道計算から反応機構を推定した。この反応の溶媒依存性はかなり小さく,これが固体状態での効率の良い反応に関与していることを明らかにした。 2)ジアリールエテン系フォトクロミック反応 ターチオフェン(3T)およびチオフェンを側鎖に有するジアリールエテン系フォトクロミック化合物を試料に用い,その閉環反応メカニズムをフェムト秒からマイクロ秒に渡る時間分解レーザー分光法によって研究した。3Tを有するジアリールエテン系フォトクロミック反応は,Woodward-Hoffmann則に従う協奏反応であること,閉環反応の活性化エネルギーは極めて低く,バリアーフリーであることを初めて証明した。一方,逆さチオフェン誘導体の場合,チオフェンのもう一方のα位に芳香環などで共役を伸ばした化合物では,励起状態において大きな構造変化が起こり,反応量子収率が極端に低下する事を示した。 3)RuおよびRh金属錯体を有するアゾベンゼン系化合物のフォトクロミズム Redox系としての金属錯体とアゾベンゼンを連結した新規金属錯体の反応をフェムト秒分光および電気化学的手法で解析し,アゾベンゼン誘導体と比較した。アゾベンゼン系化合物ではS2状態励起の場合でもS1状態へ250〜300fsで内部転換しS1状態から反転機構で異性化が起こっていること,Rh錯体では電気化学的には不可逆であるが光異性化は数ピコ秒で起こっていること,Ru錯体では電気化学的に可逆であるが光異性化は抑制されており,アゾ基からMLCT状態への効率の良い励起エネルギー移動が起こっていることを明らかにした。 4)固体界面でのフォトクロミック反応の解析 固体界面上でのスピロピランフォトクロミック反応をAFMおよび時間分解蛍光SNOMで解析した。その結果,光照射でメロシアニンに変化し,その後,熱により数100nmからサブμmオーダーの分子集合体の移動が起こり,J-会合体が形成される事を明らかにした。
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