研究課題/領域番号 |
10450330
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機工業化学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 満 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30151541)
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研究分担者 |
稲熊 宜之 学習院大学, 理学部化学科, 助教授 (00240755)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
1999年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1998年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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キーワード | 酸素同位体 / リチウム同位体 / ペロブスカイト型酸化物 / 強磁性 / イオン伝導性 / 電子-格子相互作用 / 同位体効果 / 複合酸化物 / ペロブスカイト / 強誘電体 / イオン伝導体 |
研究概要 |
本研究では複合酸化物における同位体効果を効率的、定量的かつ高精度で調べるためペロブスカイト型酸化物における酸素同位体置換効果を中心として実験を行った。実験は大きく分けて次の3種類に分類される。(1)2重交換系マンガンペロブスカイトにおける電荷整列温度に及ぼす酸素同位体効果(2)リチウム超イオン伝導体におけるリチウム同位体と酸素同位体効果(3)チタン酸ストロンチウムの誘電性に及ぼす酸素同位体効果。以下に順を追って結果について説明を加える。 (1)2重交換系マンガンペロブスカイトにおける酸素同位体効果 マンガン系ペロブスカイトでは顕著な磁気的性質として(a)2重交換強磁性および(b)電荷整列が挙げられる。これらは2つともスピンおよび格子と強く結合した強相関に起因しているが、酸素同位体置換により(a)は下降し、(b)は上昇することを見出した。この相反する結果はフォノン振動がどの物理量と優先的に結合しているかを如実に表しているものであり、前者はスピンと結合し、後者は電子と強く結合していることを示している。 (2)リチウム超イオン伝導性ペロブスカイトにおけるリチウムおよび酸素同位体置換効果 本研究では当研究室で見出したリチウム超イオン伝導体(La,Li)TiO_3の可動イオンであるLiおよびホストである酸素イオンの同位体置換を行った。Li同位体置換ではLi量増加とともに活性化エネルギーが増加した。一方、酸素同位体置換では伝導度の前指数因子が増加した。これらの結果はLiイオンのジャンプ頻度と酸素イオンの緩和により説明できることがわかった。 (3)チタン酸ペロブスカイトの誘電性に及ぼす酸素同位体効果 量子常誘電体であるチタン酸ペロブスカイトは酸素同位体置換によりT_c=24Kの強誘電体へと転移する。系では古典的な強誘電性は現れず、リラクサー的挙動に似た分域壁状態をとることを見出した。 以上の結果をまとめると、本研究では磁性体、超イオン伝導体および誘電体の同位体効果を系統的に調べたものであり、どの研究もこれまでにないドラスティックな物性変化を示すことを確認している。どの研究成果も、非常に多くの論文で引用され始めており、今後の発展が期待されている。
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