研究課題/領域番号 |
10460009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
作物学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂 齊 (坂 齋) 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科・附属農場, 教授 (30292791)
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研究分担者 |
折谷 隆志 富山県立大学短期大学部, 教授 (80088997)
高野 哲夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (30183057)
米川 智司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科・附属農場, 助教授 (70191658)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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キーワード | 穀実作物(イネ・ダイズ) / 植物ホルモン(エチレン、アブシジン酸) / 幼穂形成 / 葉身・葉鞘 / 糖類(デンプン、スクロース) / 光依存性 / イネ / エチレン / 植物ホルモン / 穀実形成 / デンプン / スクロース / 日変化 / 収量形成 / 2,4-D / カルス / 種特異性 / シンク / デンプン集積 / 環境応答 / 機能突然変異 / エチレン生成遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、イネの幼苗期をも含めた開花後の植物体への炭酸同化産物の集積・分配に対する植物ホルモンの能動的な関わりを分子生理・生態学的に解明することを目的とした。実験材料としてダイズも用いた。 1.幼苗期イネの葉の明暗条件下でのエチレン生成反応を見ると、2葉期葉身は暗条件下で生成が促進される3葉期以降の葉期とは違って、葉鞘と同様に光条件下で促進された。従属栄養状態の2葉期は葉身にデンプン等の糖類の蓄積が見られ、その光条件下でのエチレン生成促進は葉身が一時的にシンク器官になることと相関する。移植苗の生理状態を知る上で示唆的である。開花後の登熟期ではデンプン貯蔵器官、あるいは一時的貯留器官である穂、桿、葉鞘は何れも光条件下でエチレン生成が促進された。本研究における新知見の一つである。この光は約8千ルックス程度の形態形成に関わる弱光が効果的であった。 2.穂におけるエチレン生成と糖類の蓄積との密接な関係は、ユニークな材料である雄性・雌性不稔イネの穂での実験で確認した。穂でのデンプン等の集積(捻実の進行)は、エチレン生成量の明暗比の乳熟後期までの上昇と平行関係にあり、エチレンの光中での糖類集積への寄与が強く示唆された。 3.ジベレリン(GA)欠損変異イネにおける実験から、イネでは幼穂形成期のGAの十分量の存在が穂の枝梗数、籾数の決定に深く関与することを明らかにした。ブラシノステロイドは、出穂期処理で葉鞘・桿に一時的に貯蔵されるデンプンの穂への転流を促進し、登熟歩合を高めること、また低温登熟を促すことで収量増に寄与することが明らかになった。ダイズでも穀実形成に内生アブシジン酸が関与する結果を得た。 以上、イネ・ダイズの糖類の消長と植物ホルモンの動態についての基礎的、基盤的な新知見を多く得たが、分子生理的なアプローチは不十分であった。今後は、植物ホルモン間の量的・質的相互作用も解明して、作物種の穀実形成とその制御機構をよりダイナミックにとらえ、実用的制御技術を提案できる研究を推進したい。
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