配分額 *注記 |
12,200千円 (直接経費: 12,200千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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研究概要 |
多様な草食性昆虫の寄主選択と生態適応に関わる植物化学因子について,化学生態学的な見地から解析し,昆虫-植物間に繰り広げられる進化適応過程について考察を進めた. チョウ類の寄主選択における行動制御因子:みかん科およびウマノスズクサ科を食草とするアゲハチョウ類の幼虫摂食と成虫産卵行動を制御する活性物質を化学的に明らかにし,各系統間における共通因子と特異因子の比較から,寄主転換の進化プロセスを考察した.その結果,進化の頂点にあるアゲハも原始的なギフチョウも幼虫摂食/成虫産卵刺激因子ともにフラボノイド配糖体を主体とする高極性物質であることが判明し,寄主認識分子機構に重要な知見を与えた.また,同じ化学受容基盤でありながら逆の応答刺激を司る摂食/産卵阻害物質との関連を解析し,新たな生理活性物質を明らかにした. アブラムシ類の吸汁行動制御因子:吸汁性半翅類ソラマメヒゲナガアブラムシにおいて,寄主のマメ科植物に含まれる吸汁行動制御因子として未知のフラボノール配糖体クマル酸エステルの構造を解明,アブラムシの寄主認識機構の核心に迫ることができた. ミバエ科の行動制御因子:ミバエ類は世界的な最重要害虫を含み,各種果樹を食害する.各種ミバエについて果実に含まれる産卵行動開発因子,性行動誘発因子の解析を行った.一方,ミバエ類の雄成虫を誘引する共生蘭の花に含まれるフェロモン前駆体の化学的解析により,送粉共生系に関わる活性因子をつきとめることができ,一連のフェニルプロパノイド化合物の生理・生態学的機能を明らかにした. この他に,植物よりアルカロイド・テルペン成分など防御物質を摂取蓄積する鱗翅目・膜翅目・鞘翅目・半翅目昆虫相の特異な生存戦略を明らかにした.以上,昆虫-植物相互作用に関わる多様な科学的要因の比較解析から,植物二次代謝物の食性進化に及ぼす生理・生態学的役割について総合的に考察した.
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