配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2000年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1998年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
本研究の主たる目的は,プロトンポンプ(H^+,K^+-ATPase)のイオン認識・輸送機序を分子レベルで解明すること、およびポンプが細胞内で生合成された後、ポンプの細胞膜への輸送における極性がどのような機構に基づくかを明らかにすることにある。カリウムイオン結合部位に結合する特異的阻害剤SCH 28080の結合部位を明らかにする研究を行った。また、αサブユニットのH^+,K^+-ATPaseとNa^+,K^+-ATPase)とのキメラ体を多数作製し,その性質の多様な変化より,αサブユニット各部分の機能を調べた。その結果、αサブユニットの役割として,どの部位(複数)がプロトンやカリウムイオンの認識に関わるかをかなり明確にできた。特に、N末より数えて,4番目の膜貫通領域に存在するGluはカリウムイオンを認識し、ポンプの形に影響を及ぼす部位であること;6番目の膜貫通部位に存在するアミノ酸については、細胞質に近い側のアミノ酸は水素イオンを、細胞外に近い側のアミノ酸はカリウムイオンの輸送に関わることを明らかにした。他方、βサブユニットのH^+,K^+-ATPaseとNa^+,K^+-ATPaseとのキメラ体を多数作製し,その遺伝子発現,機能の性質を調べ、H^+,K^+-ATPaseが固有に要求するアミノ酸部位を明らかにし、細胞内輸送信号部位と思われるアミノ酸配列を明らかにした。βサブユニットに結合している糖鎖の役割を明確にするため,7個の糖鎖を6個,5個、--1個と順に減少させていったとき,βサブユニットの細胞内輸送信号としての機能や酵素活性機能が失われることを示した。βサブユニット内に3個存在するS-S結合の役割について、その酵素活性発現に必要であることを明らかにした。また、ポンプが分泌する強酸から細胞表面を守る機構を担うものとして、リン脂質フリッパーゼについてその機能を調べ、リン脂質分泌機構を明らかにした。
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