配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2000年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1998年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
細胞内Ca^<2+>は種々の細胞機能を制御する重要な因子である.様々な細胞で刺激に際して反復性のCa^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)上昇(Ca^<2+>オシレーション)が起こる.卵細胞では動物種に普遍的に,受精時に劇的な[Ca^<2+>]_i上昇が起こり,卵活性化を誘導する.我々は哺乳動物卵受精時にCa^<2+>オシレーションが発生することを見いだした.本研究は,精子由来と考えられる誘発蛋白質(Ca^<2+>oscillation-inducing protein;COIP)のCa^<2+>オシレーション誘発機序の解明,COIPの精製・同定を目的として行われ,以下の結果を得た. 1)マウス卵受精時(Developmental Biologyに発表),精子1個を卵内に直接注入した場合(Cell Calcium),精子抽出物を卵内の局所に微量注入した場合(Developmental Biology)の[Ca^<2+>]_i上昇を時・空間的に詳細に画像解析した結果,精子細胞質にCOIPが存在し受精時に類似したCa^<2+>オシレーションを誘発すること,COIPは卵皮質に感受性が高くIP_3受容体を介するCa^<2+>遊離を誘発することが明らかとなった.反復性Ca^<2+>遊離には,Ca^<2+>貯蔵器官である小胞体でCa^<2+>を再充填するために,細胞外からの持続的なCa^<2+>流入が必要であることを証明した(Cell Calcium).COIPは脊索動物ホヤに於ても機能していることを明らかにした(Development). 2)精子-卵融合に必須な精子先体反応を誘導する[Ca^<2+>]_i上昇がprogesterone,cyclic GMP・AMPにより誘発されることを画像で捉え,機序を解析した(Biology of Reproductionに発表).卵表面蛋白質CD9の欠損マウスで精子-卵融合不全の場合,卵のCa^<2+>増加反応が起こらないことを発見した(Nature Genetics). 3)COIPを持たない未成熟精子と精子抽出物を同時にマウス卵内に注入することにより受精・胚発生・出生を得,C0IPが応用可能であることを証明した(Molecular Human Reproductionに発表). 4)ハムスター精子抽出物を硫安処理,アフィニティークロマト,イオンクロマにかけてCOIPを精製し,終末アミノ酸配列をもとにcDNAクローニングを行い,ベクターに組み込んで大腸菌に発現させた.しかしこの蛋白単独ではCa^<2+>オシレーション誘発活性を示さなかった.複数の因子の共同作用の可能性もあり,ブタ精巣を用いて多量のサンプルに切替えてさらにCOIPを精製中である.
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