研究課題/領域番号 |
10470045
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
名倉 宏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90022821)
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研究分担者 |
鈴木 貴 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10261629)
笹野 公伸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50187142)
大谷 明夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30133987)
本郷 道夫 東北大学, 医学部・付属病院, 教授 (60133948)
佐々木 巌 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60125557)
木村 伯子 東北大学, 医学部, 助教授 (80142975)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 粘膜免疫機構 / 神経・内分泌系 / 11β-hydroxy steroid dehydrogenase / CRF / ウロコルチン / 過敏性腸症候群 / 潰瘍大腸炎 / マクロファージ / 炎症性腸疾患 / 大腸粘膜 / VIP / 胎児 / 11-HDS / 腸管粘膜上皮細胞 / 消化管粘膜 / アポトーシス / 神経ペプチド / CRFファミリー / 粘膜炎 |
研究概要 |
今日までに蓄積した我々の粘膜免疫系と神経・内分泌系に関する豊富な分析的研究成果の上にたち、両系の連携に基づいた粘膜組織での生体調節のしくみとその破綻に基づく病態の解明を行うことを目的に、本研究は、粘膜免疫系と神経・内分泌系をそれぞれ独立した系としてではなく、それらの相互作用に研究方向を定め、それぞれの系の基本的現象を組織細胞レベルから遺伝子・機能分子レベルで解析した。 消化管粘膜では、固有層のマクロファージが腸内抗原の処理や粘膜免疫系への抗原提示に重要な役割を果たしているが、corticotropin-releasing factor(CRF)ファミリーのウロコルチンが生後抗原曝露とともにこれらのマクロファージに出現することが明らかとなり、CRF受容体は固有層単核球に出現していた。粘膜マクロファージウロコルチンは視床下部のCRFとともに粘膜局所でオートクリン、パラクリン的にマクロファージ機能を制御していることがわかった。さらに腸管の機能障害と考えられている過敏性腸症候群(IBS)大腸粘膜では、情動ストレスあるいはCRFによって消化管運動異常が惹起されるが、これらのマクロファージがIBS大腸粘膜被覆上皮細胞層直下で減少消失し、粘膜基底部に小集簇をなしていることが観察され、さらに好酸球が増加していた。すなわちIBSの大腸粘膜において、マクロファージによる抗原処理機能が破綻し、好酸球が増加しているという本研究の結果は、そこではTh1/Th2バランスがTh2優位型の微小炎症が存在することを示唆している(2001米国DDW発表予定)。また消化管の水や電解質代謝に重要な影響を及ぼしているVIPは腸管上皮細胞に直接作用し、また17-hydroxysteroid dehydrogenase Type1,2は胎生期から腸管上皮細胞に発現しているが、潰瘍性大腸炎大腸粘膜上皮にはほとんど欠損していた。以上の研究成果から消化管の免疫機能や吸収機能、消化管運動は粘膜の免疫系と神経内分泌系によってたくみに制御されており、この破綻がさまざまな消化管粘膜異常を惹起させる直接的な証拠を提出できた。
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