研究課題/領域番号 |
10470071
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
|
研究分担者 |
善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60241171)
筒井 ひろ子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (40236914)
岡村 春樹 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60111043)
審良 静男 大阪大学, 医学部, 教授 (50192919)
柏村 信一郎 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00185761)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
|
キーワード | インターロイキン18 / LPS肝障害モデル / caspase-1欠損マウス / IL-18欠損マウス / Fasリガンド / 劇症肝炎 / caspase-1 / エンドトキシン / 肝炎 / IL-12 / IL-18 / FasL / TNF-α |
研究概要 |
IL-18は生理活性の無い前駆体としてマクロファージ系をはじめ多様な細胞に恒常的に産生・貯蔵され、適正な刺激下に特定の細胞内酵素により切断されたのち、活性型IL-18として分泌される。本研究においてはLPS肝障害モデルを用いて、IL-18の示す病理学的作用を検討した。Propionibacterium acnes(P. acnes)の加熱死菌を前投与したマウスに微量のLPSを投与すると、肝臓に劇症肝炎様の病変が誘導される。しかし、抗IL-18抗体をLPS投与と同時に投与すると病変は著明に抑制される。また、このようなP. acnesとLPS投与で誘導される肝障害は、IL-18を産生することができないマウスであるcaspase-1欠損マウスやIL-18欠損マウスを用いた場合はおこらない。このような事実から、IL-18が肝細胞傷害の誘導に関与することは確実である。実際、P. acnes処理したマウスにLPSの代わりにIL-18を投与すると、肝細胞傷害が誘導される。IL-18はIFNγ、TNF、FasLなどの産生を直接的あるいは間接的に誘発する。従って、IL-18はこれらの細胞障害因子の産生を誘導することで、肝細胞障害を誘導するものと考えられる。事実FasLを強く発現したNK細胞株をP. acnesで前処理したマウスに投与すると、肝臓に劇症肝炎様の病変が誘導された。更にP. acnes処理したマウスに可溶性のFasLを投与すると劇症肝炎様の病変が誘導された。ここで重要なことはP. acnes前処置さえしておけば、caspase-1欠損マウスに可溶性のFasLを投与しても劇症肝炎様の病変が誘導されたことである。しかし、P.acenes前処置したIL-18欠損マウスに可溶性FasLを投与しても劇症肝炎様の病変は誘導されなかった。可溶性のFasLをP. acnes処理したcaspase-1欠損マウスに投与すると、血中のIL-18値は著明に上昇した。一方、当然ではあるがIL-18欠損マウスでは血中でIL-18は検出されなかった。以上の結果から、我々はFasLは直接的に肝細胞障害を誘導するばかりでなく、Fasを発現しているKupffer細胞に作用してIL-18の産生を誘導することで、NK細胞やTh1細胞上のFasLの発現をさらに増強させ、その結果、一層肝細胞傷害が増強されるのではないかと結論するに至った。今回の研究から、FasLとIL-18の間にポジテイブフィードバックループが存在することが明らかとなった。
|