研究課題
基盤研究(B)
ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑の原因ウイルスであることが知られている。また赤芽球系細胞への感染により、再生不良性貧血のcrisisや非免疫性胎児水腫の原因になっていることも知られている。さらに、B19ウイルス感染と慢性関節リウマチ(RA)との因果関係も疑われている。我々はB19ウイルスの非構造蛋白質NS-1が、B19ウイルス感染によるこれら疾患の発症機構において重要な役割を演じている可能性を想定し、NS-1の遺伝子導入マウスを作成した。先ず、赤芽球系細胞特異的プロモーターを用い、NS-1トランスジェニック(Tg)マウスを作成したところ、1系統のTgマウスでは胎仔期6.5日までに全てのマウスがに死亡した。また、別の系統のマウスの一部の固体において、赤血球の著明な減少が観察され、B19感染による胎児水腫に相当する異常が確認された。これらの結果は、B19ウイルス感染による非免疫性胎児水腫の発症機構にNS-1が重要に関わっていることを裏付ける結果である。また、NS1・Tgマウスが非免疫性胎児水腫のモデル動物として有用であるものと考えられる。他方、我々はRAのモデルマウスを作出することを目的とし、リンパ球系細胞特異的プロモーターの制御下にNS1遺伝子を挿入したTgマウスを作出した。同マウスにおいては40週令までに明らかな関節炎の所見は得られていない。しかしながら、全てのTg系統においてNS1の発現レベルが極めて低いことから、NS1機能発現が十分でない可能性も否定できない。
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